あしげ日記:2021-8-22

あしげ日記

今朝は、手持ちの統計の参考書の中から、ケースコントロールスタディの箇所ばかりを読んでいます。

一昨日のブログで、「足底腱膜炎の論文が実はケースコントロールスタディをやっていることに気づいた」と書きましたが、どうして自分の研究デザインもわからずに今まで来たのかを確認するために、今まで読んだ参考書のケースコントロールの箇所を見直しているわけです。

読み直してみて思ったのが、どの本のケースコントロールスタディの説明も、内科の研究向けに書かれているのですね。内科の先生は、ある偶発的イベントを見たとき、「その偶発的イベントの起こった人たちと起らなかった人たちを比較したら何が違うのだろう」という発想から原因となる要因を探し出そうと思い、そこから背景因子の似通ったケースとコントロールを集めて研究を始めることがあり、おそらく統計の先生も、内科の先生からそういう研究についての相談を受けることが多いことから、本の説明が内科に偏っているのでしょう。

一方、外科系の場合、ある手術を行ったという患者さん集団をはじめから持っています。ある2つの手術をその結果を比較する場合、たまたまその2集団の背景因子が似ていればケースコントロールスタディとなりますが、そうでないケースの方が多く、ケースコントロールスタディと呼べる研究にならない場合がほとんどです。

すなわち、ケースコントロールスタディと呼ばれる後ろ向き研究を行おうと思ったとき、内科系では研究を発想してからケースとコントロールを集められるのに対し、外科系では、手持ちの集団が最初から固まっているので、研究を発想してから今さらケースとコントロールを集めることができず、偶発的に手持ちの2集団の背景因子がそろっているときにのみケースコントロールスタディが成り立ちうる(むしろそんなことはありえない)、という違いがあります。

このようなことから、統計の本のケースコントロールスタディの説明は内科向けに限定されており(「イベントの起こった群と起らなかった群を集めて…」といったような)、外科系にとってはご縁のない研究デザインだと思っていたのが、自分が期せずしてケースコントロールスタディをやっていることに気づかなかった原因でした。

しかし、ここで登場するのが「傾向スコア」です。外科系において、最初から「ある手術をした」という集団が固まってしまっている以上、あとから2集団を比較する際、今さら背景因子をそろえようとしてもそろわない、という状況が生まれていたわけですが、この傾向スコアによって、背景因子を調整することができるようになりました。それまでは内科系の専売特許だったケースコントロールスタディが、傾向スコアによって背景因子が調整できるようになることで、外科系にとっても有効な研究デザインとなったわけです。

傾向スコアの説明をしている医療者向けの本は少しずつ増えてきていますが、傾向スコアの章だけを書き足すのではなく、ケースコントロールスタディの箇所も外科系フレンドリーに書き換えてほしいですね。

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