「心を支えるシェイクスピアの言葉」

読書日記

2021-12-28:「心を支えるシェイクスピアの言葉/河合祥一郎

シェイクスピアを今までろくに読んだことがない罪悪感から、手っ取り早く読めるものとしてこの本を選択しました。①シェイクスピアの作品に出てくる有名な言葉を上げ、②その言葉が出てきた場面や関連する逸話などを紹介したのち、③著者がまとめる、という形式で、全部で110の言葉がピックアップされています。

まず目についたのが、③の著者によるまとめの一文が恐ろしくつまらない(笑)。簡単にピックアップすると、「未来に生きろ」「熱い思いを失っては行動できない」「あなたが当たり前と思っているものの中に答えはある」「積極的に前へ出よう」「重要なのは強い欲望を持つこと」「短気は損気だ」「いやだと思うからいやなのだ」「最後まであきらめてはいけない」…そんなのわかってますよ。ていうかシェイクスピアの言葉を借りながら、どうして上から訓辞を垂れるんですかね。人生の荒波にさらされながら懸命に生きていくという意味では、著者も読者と対等なはずでしょう。名言集をまとめる著者は、自分がどの立場からものを言うかよほど注意しておかないと、このような陳腐な訓辞を垂れることになってしまいます。

それだけではあまりにも著者に悪いので、どうしてこの本がこんなにつまらないのか他にも探ってみると、シェイクスピアの名言自体も、それほど面白くないものも多いんですね。「人間ってなんて馬鹿なんでしょう!(真夏の世の夢)」「残酷なことを言うのも親切のため(ハムレット)」「簡潔さこそは知恵の要(ハムレット)」「きれいは汚い、汚いはきれい(マクベス)」「人の真価が決まるのは人生を終えたときだ(ヘンリー四世)」「まことの愛の道は決して平坦ではない(真夏の世の夢)」なんて読んで楽しいですか? おそらく、ことばというのは、どのような場面で言われるかによって響きが変わってくるので、舞台での場面を抜きにしてセリフを切り取ってしまうこと自体、ナンセンスなのだと思われます。

巻末に、「シェイクスピア全四十戯曲のあらすじ」をまとめていたのが唯一の収穫でした。ただ、話の7⁻8割は殺人が含まれており、そういう行為をネタにして展開する物語そのものにあまり興味がわきませんでした。

どうもシェイクスピアへのアプローチを間違えてしまいましたね。おそらく①舞台を見る、②本を読む、③このような解説本を読む、の順番が正解のようでした。かくしてこれからも、シェイクスピアとはご縁のない人生を歩んでいくことになりそうです。

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