踵骨骨折の保存療法について説明します。
適応
転位が少ない踵骨骨折は、保存療法の適応となります。また、ひどすぎる骨折も、手術的治療で保存的治療を上回れる公算が少なくなるので、保存療法の適応になります。
大本法
1981年に大本秀行先生が発表された非観血的徒手整復法です。患者さんにうつ伏せになってもらい、踵を両手で挟み込んで握り、左右に揺らしながら持ち上げます。
受傷したてのまだ腫れが強くないときであればよく整復されます。
これから手術をするときにも、あらかじめこの方法で整復しておくと、腫れが少なくて済みます。他の病院に紹介する際も、まずやっておいてほしい整復法です。
腫脹の軽減
踵骨骨折ではかなり踵が腫れます。手術の際にはこの腫脹によって創トラブルの可能性が高まりますので、まずは腫脹を軽減させる治療が必要です。
挙上・クーリング
下肢骨折の基本です。
治打撲一方
内服薬によって腫れの軽減を図ります。
フットポンプ
フットポンプ利用によって3-5日で手術可能になったという報告があります(Thordarson, 1999)。
装具

保存的治療の場合、また、手術後早期に退院する場合には、骨折が癒合するまでのあいだも足をついて歩けるようにするため、装具を作成することがあります。かかと部をくりぬいて前足だけで荷重できるような装具を作成します。
保存治療か手術治療か
どちらとも言えない
「保存的治療がいいか、手術的治療がいいか」という論文は数多くありますが、「一概にどちらとも言い切れない」のが結論です。それは当然で、各論文によって骨折の分類法も手術法もばらばらで、比較しようがないからです。
自信があるなら手術を
したがって、術者側から言えることは、「保存的治療よりも確実に良好な治療成績が見込めるならば手術をする」ということです。ぐちゃぐちゃな骨折で元に戻せる当てもないのに、むやみに皮切をあけてやはりうまくいかず、その上感染を起こす、というような、最悪な結果は避けなければなりません。
つい50年前まで踵骨骨折は、基本的に保存的治療で、後遺症が残ったら後からその後遺症に対する手術をする、というのが基本でした。CTの進歩や、術前の管理法の向上、固定デバイスの進歩などにより、やっとここ50年で新鮮骨折に対しても手術が行われるようになったばかりです。そのことを術者は念頭に置いて、なんでもかんでも手術をしないように気を付けなければなりません。