足の外科手術でプレート固定よりK-wireが有効なこれだけの理由

手術テクニック

整形外科医のほとんどは、プレート&スクリュー固定のほうがK-wire固定よりも優れている、と思っているかと思います。しかし、足の外科手術に関しては、この限りではありません。ここではその理由を説明します。

足側の理由

理由1:足は一つ一つの骨が小さい

足は一つ一つの骨が小さいので、固定に用いられる材料は限られます。

理由2:足は体重を支えなければならない

一つ一つの骨は小さいわりに、体重を支えなければならないという役割があります。体重を支えることを重視しすぎると足の骨に比べて大きな固定材料となりがちです。反対に、小さい骨のことを重視しすぎると、体重を支えることを考えていない脆弱な固定材料となりがちです。足の手術を考える際、足の骨はこの相反する2つの要素を持っていることを認識して、両者のバランスがよくとれた固定材料を選ぶ必要があります。

理由3:足のアライメント矯正には繊細さが要求される

足は体の中で地面と接する唯一の部分ですから、足の形のゆがみは歩行時の痛みの原因となります。たった2mm の矯正不良が、有痛性胼胝の原因になることもあります。骨折手術や変形矯正手術などをする場合、繊細なアライメント矯正が可能な固定材料でなければなりません。

理由4:足は軟部組織の薄いところと厚いところが極端

足の解剖的な特徴として、足底側は地面からの衝撃に対するクッションの役割をするために分厚い軟部組織で覆われているのに対し、足背側は軟部組織がうすく、神経血管や腱などの重要な組織が皮膚からすぐのところにある、という特徴があります。足の手術の固定材料を考えるとき、どの方向から足の骨にアプローチするかによって、使用できる固定材料が限定されてきます。

プレート側の理由

理由1:強度と大きさの兼ね合いが中途半端

体重を支えるためには分厚いしっかりしたプレートが望ましい反面、足の一つ一つの骨は小さいため、分厚いプレートではスクリューが大きすぎて固定することができない、という難しさがあります。反対に、足の骨に合わせた小さなプレートとスクリューでは、荷重に耐えられる強度を出すことができません。どちらにしても中途半端な固定材料となりがちです。

理由2:プレートのフィットの悪さ

足の小さな骨は、それぞれ凹凸の多い特徴的な形をしています。そのため、骨の形にあったプレートを作るのが困難です。プレートが骨から浮くと、腱が下にもぐりこんで切れる危険性が出てきます。

理由3:プレートを当てるのに向かない軟部組織構造

足底側の軟部組織は分厚いため、底側にプレートを置くことは難しく、一方、足背側にプレートを置くと、神経血管や腱などのすぐ近くに設置しなければなりません。しかも、足背の軟部組織は薄いため、プレートを設置すると違和感が強く出てしまいます。

理由4:スクリュー刺入方向の融通の利かなさ

①足の骨の形は特徴的で凹凸が多い、②神経血管腱に影響しない場所は限られている、の2つの条件により、プレートを置く位置はかなり制限されてしまいます。さらに、何とか収まりのいいところにプレートおいたとしても、そのプレートから打てるスクリューの方向は限られているため、スクリューが2骨皮質を抜けなかったり、あるプレートの穴からのスクリューは関節に入ってしまうため使えなかったりなど、必ずしも高い固定力が得られるとは限りません。

理由5:微調整の効かなさ

当てるプレートの位置によってスクリューの方向が限られてしまうために、無理にスクリューを骨に効かせようとするあまり、理想の骨のアライメントを崩すこともあります。そうしてスクリューを打った後に、あと2mm 骨を動かしたいと思っても、そのような微調整は効きません。

理由6:早期荷重できない

プレートのメリットと言えば、強固な固定による早期荷重ですが、足では、荷重部位であるにもかかわらず小さな骨であるという特徴により、早期荷重に耐えられるような強固な固定ができません。その割にデメリットばかりが目立ってしまうため、足の外科においては、プレートはあまり有効だとは言えません。

K-wireがよい理由

理由1:刺入方向が微調整できる

神経血管や腱を避けたい、あと2mm 横のほうが固定力がよさそう、など、様々な理由で、固定デバイスの刺入方向を調整したい場合があります。こういった場合、スクリューにはその力は皆無ですが、K-wireは柔軟に対応できます。

理由2:刺し直し・追加が可能

「先に打ったK-wireが、あとから打つK-wireに干渉しすぎるから少しずらしたい」とか、「打ったK-wireがどうも固定力が弱いから、あと1本追加したい」など、さまざまな場面に、K-wireは対応できます。スクリューは径が太く、そうそう気安く穴をあけることができないため、こういった対応ができません。

理由3:となりの骨を固定に使える

K-wireでは、隣の骨も貫通させることで、隣の骨を「創内固定」の支柱として利用することができます。スクリューでは、径が太いために隣の骨に貫通させると割れそうとか、剛性は高いも弾性が低いために隣の骨まで貫通させると金属疲労折損を起こしそう、とかいった問題のために、このような使い方はできません。

理由4:軟部組織も固定に貢献

K-wireは皮下を長く通すこともできるため、その部分も固定力として使うことができます。スクリューではこういった使い方はできません。

理由5:最終的な微調整が可能

最終的なアライメントを見たとき、あと2mm 母趾を下にしたいとか横にしたい、などといった微調整を、K-wire固定であれば、そのまま母趾をぐっと曲げればK-wireが曲がることで達成できますが、スクリュー固定では剛性が高すぎかつ弾性が低すぎるため、このような微調整が効きません。足はわずかなアライメントの悪さが痛みの原因になりますので、こういった1-2mm の微調整ができる/できないの違いは、大きな優劣の差となります。

以上のように、プレート&スクリュー固定の方がK-wire固定よりも優れている、といった整形外科医の「常識」は、足の外科の世界では通用しないと思ってよいかと思います。

メーカーが新製品を作るときはよく検討して

足の外科に新規参入してくるメーカーを見ても、オリジナルな製品は少なく、それまでに大手が出している製品に似せたものが目立ちます。せっかく新製品を出すのですから、ご自分のところでしっかり検討を重ねたオリジナリティあふれる製品を作ってほしいものです。その際、「自社の出す新製品はK-wireに勝てるのか」というのは、一つの指標になるかと思います。

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