外脛骨障害の保存療法

外脛骨障害

外脛骨障害の保存療法について説明します。

方法

安静

外脛骨障害の病理組織像は、外脛骨と舟状骨の間での微小な骨折ですので、安静にすれば痛みは軽減します。しかし、微小骨折を起こしうる外脛骨と舟状骨間の状態(中途半端な癒合)自体が体からなくなったわけではないので、また活動を再開すれば痛みがぶり返す可能性は高いです。治癒率は50%と報告されています。

痛み止め

対症療法です。

インソール

外脛骨障害では扁平足を伴っていることが多いため、足のアーチを下から支えるアーチサポートのインソールによって扁平足を矯正し、外脛骨に付着する後脛骨筋腱への負荷を減らします。

手術療法で良い理由

痛みが出始めた外脛骨障害で、ひとまずは保存的治療を行いますが、症状があまり軽快しない場合、漫然と保存的治療を続けるのは得策ではありません。その理由の1つは、上記に述べた「中途半端な癒合」です。もう一つの理由は以下の通りです。

外脛骨はそもそも種子骨

正常な外脛骨は、後脛骨筋腱の中に含まれる種子骨です。種子骨とは、腱の方向を変えたり、腱の分岐点に合ってつなぎ手役をしたりするような、腱の働きを助ける機能のある骨です。

外脛骨が正常な機能を果たす場合

種子骨はそのように機能を持つ骨ですから、腱の動きに伴って、ある程度動くことが許されています。外脛骨の場合、上流から来た後脛骨筋腱が外脛骨のところで3本に分岐し、うち1本は舟状骨へ、もう1本は足裏の方に行き、真ん中~外側の足根骨につきます(もう1本はここでの趣旨から外れますので省略します)。後脛骨筋腱に力が加わると、種子骨から3つに分散した腱それぞれに力が伝わり、付着する骨を近位に引っ張る作用をします。このような正常機能を果たす外脛骨は、小さく、舟状骨からやや離れたところにあり、Veitch分類のtype1に相当します。

種子骨が動かないことによる腱の機能不全

ところが、外脛骨がtype 2のような状態だと、3つに分岐する腱の留め金の働きをしていた外脛骨が舟状骨と癒合しているため、舟状骨には力が働くものの、足裏に回って外側の足根骨につく腱に力が働きません。そのため、足裏を内くるぶし方向に引き寄せる力がかからず、動的に足のアーチを保持することができません。これは、外脛骨障害の方に扁平足が多い理由の一つと考えらえれています。

「痛みの原因」かつ「腱の機能不全の原因」だから取り除く

これが2つ目の理由です。

すなわち、外脛骨障害では、解剖学的に微小骨折を起こす状態を常に体に抱えているゆえ、安静では治るもののまた活動を再開すれば痛みが出る繰り返しになることが多い、というだけでなく、腱の機能不全によって扁平足を引き起こす原因にもなるため、一度痛くなった時は、いたずらに保存的療法でねばる必要も乏しく、手術を検討してよいと考えています。

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