外反母趾の保存療法をいくつか紹介します。
装具
装具は、外反母趾による痛みを軽減したり、進行をゆるやかにしたりする効果があります。
メタターザルパッド
外反母趾の方の多くは横アーチが低下して幅の広い足(開帳足と言います)となっています。メタターザルパッドは中足骨の真ん中を持ち上げることにより、横アーチを形成させ、足幅を狭くすることによって外反母趾に伴う靴のあたりを軽減します。
外反母趾用サポーター
第1趾と第2趾にはさむパッドと外反母趾の骨の突出部のパッド、メタターザルパッドがすべて一体となっているサポーターや、母趾を外に引っ張るサポーターなど、各種サポーターがあります。
リハビリ
Hohmann体操
両方の足の親指に大きな輪ゴムなどをひっかけ、足を外に開くことで足の親指が内側に引っ張られるようにする体操です。外反母趾では、外側の軟部組織が固くなっていますので、そのストレッチの効果があります。
「気を付け」の練習
足指をそろえて(足指の間を引き締めて)ぴーんと伸ばす(つまり「気を付け」の姿勢)練習です。外反母趾の方は足の内在筋が衰えており、うまく足指をそろえて伸ばすことがとれません。その結果、第2-4趾は曲がり、横アーチが低下して幅広の足となり、母趾は根元の骨が外に開くことで筋の走行が変わって外反母趾になってきます。「気を付け」の練習は、内在筋をうまく働かせるようにするリハビリです。
タオルギャザー
足指でタオルをたぐり寄せる練習です。よく知られていますが、ちゃんとやるのは難しいリハビリです。足指には外在筋と内在筋があり、外在筋は足指の先端に効いて足指全体を曲げたり伸ばしたりする大きな筋肉、内在筋は足指をまっすぐに保持したり足指の間を締めたりする細かい筋肉です。タオルギャザーをちゃんと行うためには、その両方の筋肉を使うようにしなければなりません。すなわち、指先だけでちょこちょこタオルを集めるのではなく、足指の間を締めながら、足指の根元まで含めてダイナミックに動かす必要があります。
グーチョキパー
足指でグーチョキパーをする練習です。これもタオルギャザー同様、外在筋のみで行ってしまうことになりがちなため、グーではしっかりと足指の間を締めることを意識する必要があります。チョキやパーでは5本の指をしっかり独立させることが大切です。
5本指靴下
足指に悩む全ての方にお勧めするのは、5本指靴下です。5本指靴下を履くことで、5本の足指それぞれが独立したものであることを意識し、また、独立して動かす気持ちになってもらうためです。5本指靴下を履くと、今まで5本ひとまとめにした靴下を履いていたことがいかに不健康なことだったか、よくわかると思います。たとえれば、いつでもミトンをつけて暮らしていれば、手の指が衰えてくるのと同じです。足指の間の痛いタコは、5本指靴下で解消することも多いです。