概要
腰痛が以前にもひどくなってきたので、これはどうしたものかと考えていたところ、ふと日記をつけようと思いつきました。試しに「腰痛日記」とGoogleで検索してみると、日記は有効であるという記事がいくつか出てきます。腰痛のような複数の原因が考えられる状態には、日記を書くことで気づきを多くし、その改善を図る「認知行動療法」が有効とのことです。
経過
2025-8-4:腰痛は、34歳の時に患者さんをベッドからベッドに移したときに発症した腰椎椎間板ヘルニア(L5/S1)以来ずっと続いている。半年前までは腰が少し重いくらいで何とかなっていたが、一時期ストレッチを念入りに行ってから急に調子が悪くなった。臀部痛や下肢症状はないので、診断は、非特異的腰痛+加齢性変化+椎間板の膨隆といったところだろう。これなら日記で何とかなりそうだ。
まず改善できるのが体重だ。現在の体重は自分の理想から5kg多い。お腹に大きな重りを抱えていたら腰に負担が来るのは当然なので、まずはこれを改善しよう。減量はチョココーラダイエットで何度か大幅に落としたことがあるのでお手のものだ。
日記をつけると決めたら、まぁ不思議なことに、少し痛みが和らいだ気がする。いつまで続くか分からない腰痛に立ち向かおうという気になったからか、少し腰痛を感じたときにただ感じっぱなしでなく、痛みの少なくするにはどうすればいいか試行錯誤しながら動かしてみるからか。
2025-8-5:仰向けとうつ伏せを比較すると、仰向けの方が痛みが強い。一つの原因としては、仰向けだと腰椎の生理的前弯が減ることにより、後縦靭帯への刺激が強くなることが考えられる(草むしりでずっとしゃがんでいると腰が痛くなるのも、前屈位での椎間板の後縦靭帯への圧迫が一つの原因と言われている)。そこで仰向けの姿勢でお腹の肉を引っ張り上げると、なんと腰痛が減るのである。なるほど、寝ているときの腹の重さも腰痛には関係するのか。また、自分の姿勢を横から見ると、つま先荷重で全体にやや前倒れになっており、お腹の重さを腰部でけん引している様子がよく分かる。これでは常に腰部は過緊張を強いられるわけだ。
2025-8-6:「腰痛には体操療法が有効で、それは体操の種類によらない」という整形外科では有名な論文がある。腰痛のためには何でもいいから体操せよという話である。では何の体操をしようかということだが、自分的には”ゆる体操”が最もすぐれた体操だと思っている。
ゆる体操は2000年前半にブームだったが、最近はあまり聞かなくなった。いい体操だと思うのに残念だ。難しい理論はさておき、要はぶらぶら動かすことで筋のトーヌスを落とそうという体操。我々の体は曲げる筋肉と伸ばす筋肉が常に働いて、適切なポジションに体を維持させている。しかし、同じポジションに体を維持させるにしても、その両方の筋に大した力を入れず、リラックスしながら体を維持することもあれば、がちがちに力が入った状態でそのポジションを維持することもある。スケートですいすい滑る人と、がちがちに緊張しながら辛うじて氷の上に立っている人との違いと言えばわかりやすいか。すると、痛みだったり癖だったりで、無意識のうちに筋が過緊張状態となり、それがさらに痛みの原因となっていることがある。外来をやっていても、かばい癖によってあちこち痛くなっている人はよく見かける(かばいすぎ症候群)。
自分の場合、どうも腰が一枚板のような不動な感じがしてならない。そこでゆる体操を30分以上続けていると、硬いベニヤ板だったのが粘土の板くらいにやわらかくなる気がする。体重は順調に1.7kg減。
2025-8-7:筋肉を柔軟に使うこととともに重要なのが関節の柔軟性だが、外来で患者さんを見ていると、疾患のある人を除いて、手足の関節が極端に硬いことは少ない。膝や肘も日常生活に支障をきたすレベルの硬さの人は見ない。肩や股関節だと、屈曲伸展といった普通の動きは大丈夫なものの、内旋外旋といった特殊な動きになると硬さが目立つ人も出てくる。しかし、脊椎となるとかなりの個人差が出てくる。これは日常生活でよく動かす部分について硬くはならないが、日常生活であまり動きを要求されない部分は硬くなるということだろう。
自分の脊椎の可動域を調べると、頸椎は前屈は硬くなく、後屈は多少詰まる感じはあるも、そこまで硬くはなっていない。確かに上を見る機会は下を見る機会に比べて少ない。ところが、側屈や回旋はかなり硬くなっていた。首を傾ける動きなど日常生活ほとんどないし、横を向く時もわざわざ首だけ回さず、体をそちらに向けてしまっている。胸椎は肋骨があるためにあまり大きく動く場所ではないためか、そこまで硬さを感じない。
そして腰椎である。腰椎は椎間関節が縦向きであるという構造上、ねじる動きの可動域はほとんどないが(体幹をねじる動きは胸椎と椎間板で行われている)、前後屈はよく動くようにできている。しかし、腰椎は日常生活上、前後屈を必要とすることはほとんどない。足裏を合わせたヨガのようなポーズをとった時、後ろにひっくり返りそうになって唖然とした。以前に比べてかなり前屈が硬くなっている!後屈はもともと反り腰なこともあるのか、そこまで硬さを感じなかった。
全身ストレッチをすべて行うのは時間もかかって大変なので、日常生活動作では補えない頸椎の側屈と回旋、肩と股関節の内旋外旋、腰椎の前屈は毎日やることにしよう。
2025-8-13:ゆる体操や上記のストレッチはやろうと決めたものの、とにかく継続するのが面倒なのである。そこで、これらすべてを寝転がっているときにやることにした。わざわざストレッチ用のマットの上に座って、などとすると、とたん面倒くさくてやりたくなくなってしまう。しかし、寝ているときであれば、寝るまでの時間や起きてベッドから離れるまでの時間は他にすることがないのでやりやすい。朝ベッドから起きる時の腰痛が一番ひどいが、こうしてゆる体操とストレッチをやってから起きると少し楽な気がする。また、これらの体操は座っているときもできることに気づいた。論文を書いたり査読したりする時間はまだしも、YouTubeを観ている時間などは無駄にすぎないのだから、そんな時間は体操をした方がずっと有意義だろう。