母趾種子骨障害の手術療法

母趾種子骨障害

手術療法の概観

母趾種子骨障害とは、母趾球にある小さな骨に痛みが続く状態です。保存的治療で痛みが改善しない場合、手術療法の適応となります。

手術療法にはいくつかの方法があります。一般的な術式は「種子骨切除術」です。関節鏡の技術があれば(→「母趾MTP関節鏡の方法」)、「関節鏡下種子骨切除術」も可能です。

しかし、そもそも必要だからある種子骨を切除すれば、それなりの機能障害が残る可能性もあるため、残せるのであれば残したいものです。そこで筆者が考案した術式が、「関節鏡下自家骨移植術」です(論文はこちら)。

種子骨切除術

一般的に行われている方法です。

方法

内側の種子骨に対しては足の内側に3㎝の傷を作ってアプローチします。外側の種子骨に対しては、内側の傷をさらに大きくするか、足底に傷を作ってアプローチします。

問題点

内側からのアプローチの場合、中足種子骨靱帯を切離します。この部位は骨の上の皮膚が敏感なところのため、手術創の違和感が残りやすい部位です。

外側種子骨の場合、底側からアプローチする方法もありますが、足裏に手術創を作るため、肥厚性瘢痕を残すことがあります。

関節鏡下種子骨切除術

英語文献では過去に2つの症例報告しかない術式ですが、筆者が開発した関節鏡手技を用いれば比較的簡単に行うことができる術式です。日本では筆者の他2人、この手術ができることを学会で確認しています。

適応

スポーツをしない方や粉砕骨折、極端に突出して有痛性胼胝を作っているケースなどの場合には有効です。

関節鏡下自家骨移植術

筆者が開発した方法です。腸骨から採取した海綿骨を、関節鏡下に種子骨の分裂部に移植する手術です。治療成績は良好です。

手術の詳しい説明は、「母趾種子骨障害に対する関節鏡下自家骨移植術(専門医向け)」で説明します。

関節鏡下自家骨移植。分裂種子骨がよく癒合しています。

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