【準備中】アキレス腱付着部症のレントゲン・MRI評価

論文日記

概要

アキレス腱付着部症のレントゲン、MRIの評価の論文を同時に進めています。

アキレス腱付着部症のレントゲン評価については、World Journal of Orthopedicsへのレビュー論文を行っているときに思いつきました。各種のレントゲン指標が、アキレス腱付着部症の診断に有効かどうかを調べる予定です。

アキレス腱付着部症のMRIは、査読を依頼された論文を読んだとき、意外にもアキレス腱付着部症のMRIをしっかりと調べた論文が世の中にないことを知ったのがきっかけです。

経過

2022-12-20:ひとまず進行中の論文は査読待ちや英語添削待ちなどになったので、次の論文に取り掛かることに。アキレス腱付着部症のレビューをしているときに、アキレス腱付着部症のレントゲン評価は論文になりそうだと思ったので、それにすることにした。既存の指標と自分で考えた新たな指標でレントゲン画像の計測を行い、痛みのある踵(手術した側)を1(陽性)、痛みのない踵を0(陰性)として、それぞれの指標の感度・特異度を調べ、アキレス腱付着部症の指標として有効かどうかを調べればよい。それだけでも十分だが、紙面に余裕があるなら、ロジスティック回帰分析で予後予測式を作ってもよいかもしれない。さっそく匿名化した患者さんの表を作成。方法の概略、イントロダクションの一部を日本語で記載。

2022-12-21:文献検索。レビュー論文を書くときの文献検索では、レントゲン画像に関するものは特に集めなかったのでやり直し。手術した患者さんのレントゲンを見ながら、骨棘を評価する指標をどうするか検討。指標は直観的で普遍的で簡便なものにしなければならない。

2022-12-22:文献読み。

2022-12-25:アキレス腱付着部症のレビュー論文の提出が終わったので、査読を依頼されるも据え置きにしていた原稿読み。これまたアキレス腱付着部症に関する論文。中国の大学の放射線科の先生が書いた論文らしい。中国からの論文で12人の患者さんを調べただけだとちょっと物足りない。数が売りの国なのに。

2022-12-26:昨日に引き続き、中国の大学からのアキレス腱付着部症のMRIに関する論文の査読。大学から出された論文を査読していつも思うのは、論文の基本的な枠組み:①Introductionでは、主題の一般的事項の記述から始め、未解決の問題を絞り込み、この論文の目的を宣言する、②Methodsでは、その問題を解決するために自分たちが用意した方法を述べる、③Resultsでは、自分たちの提示した方法に対応する形で結果を記述する、④Discussionでは、自分たちの結果を簡単に総括したのち、その結果と他の文献を比較し、一般化可能性について議論する、⑤Conclusionでは、この論文を通じて自分たちの出した結論(答え)を、イントロダクションで提示した目的に対応する形で提示する、ができていない論文が多すぎる。こういう基本的お作法すら出来ていない論文を、どうして大学から提出してくるのか。若手医師のなっていない論文をきちんと添削するのが大学の教育というものだろう。一発Rejectにしたくもなるが、それでは一生懸命書いた若手医師がかわいそうなので、結局こちらが添削してあげることとなる。

2022-12-27:昨日に引き続き、アキレス腱付着部症のMRIに関する論文の査読。火曜日は水野記念病院の非常勤外来。午前中は史上最高に混んでいたが、午後の遅い時間は史上最高に空いていた。いよいよ世の中は年末モードか。

2022-12-28:昨日に引き続き、中国の大学からのアキレス腱付着部症のMRIに関する論文の査読。ひたすら英作文の練習のようにコメントを記載。非英語ネイティブなのに英語ネイティブに添削してもらわずに論文を提出する神経がわからない。

2022-12-29:中国の大学からのアキレス腱付着部症のMRIに関する論文の査読。とりあえず提出。初めて論文を書くには、まずは数冊の書き方本を読むことと、ジャーナルに提出する前に英語校正会社で添削してもらうことは必須だと思う(それすらやっていない著者が多すぎる)。書き方本を読むことで、論文のお作法以前のところでつまづくことが避けられるし、英語校正会社は、まだ書き慣れていないうちは、内容にまでかなり突っ込んでアドバイスをくれる。ちなみに、自分の読んだ書き方本でよかったと思うのは、①国際誌にアクセプトされる医学論文、②日本人研究者のための論文の書き方・アクセプト術、③雑誌編集長が欲しがる!!医学論文の書き方、④アクセプトされる医学論文を書こう、など。

2022-12-31:レントゲン評価の論文を始めたはいいものの、何しろ肝心なレントゲン評価をしなければ論文は進まない。レントゲン評価は病院でしかできないので、年末年始に進められないのは厳しいところ。今はできることをちょっとやるだけか。
今年は8本論文を書き、5本アクセプト、3本は査読中で終わった。4本目までは順調だったが、5本目のケースレポートの投稿先を2度変更せざるを得なくなったところから調子がおかしくなった。今考えればもう少しできた気もする。そこは来年に生かそう。
来年早々に現在査読中のアキレス腱付着部症のビデオ論文とレビュー論文が通るはず。今始めたアキレス腱付着部症のレントゲン評価を春頃までには完成させたいし、同時進行で、MRI評価もやろうかと思っている。そうしているうちに、夏頃に外反母趾のケースシリーズを出し、秋には外脛骨障害の内視鏡手術の術後2年経過症例数がある程度に達するので、それを出そうと思っている。うまくASMARでアクセプトされれば、ビデオ論文もArthroscopy Techniquesに出せるだろう。それらが計画通りに進めば、来年も7本の論文が確保されることとなる。
論文を書くようになって、自分の中で「楽しく過ごす」ということの優先順位が低くなった。自分の中の人生の価値として、「生まれる→楽しく過ごす→死ぬ」というよりも「生まれる→多少苦しくても何かを残す→死ぬ」のほうが意味あるように思えてきたからだ。だから、年末年始にだらだらとYouTubeなどを観ていると、だんだんと生きた心地がしなくなってくる。論文をやっているときこそが生きている時間なのだ。

2023-1-1:今日から2023年。始動は2時半。レントゲン評価の論文のついでに、MRI評価の論文をやることを決意。暮れにやっていた中国の放射線科の先生の論文の査読がきっかけ。意外にも、アキレス腱付着部症のMRI所見に関する論文が、世の中にほとんどないことを知った。面倒な査読も引き受けてみるものだ。早速PubMedで文献探し。方法の記載(日本語)。MRI、レントゲンともに、患者さんデータの表の作成(評価項目の決定)。レントゲンの文献読み。

2023-1-2:レントゲンの患者さんデータ表の項目完成。あとは病院に行ってひたすら計測するのみ。引用すべき文献を原稿に記入。方法の原稿作成(日本語)。イントロダクションで書くべき内容の構想(日本語)。今回アキレス腱付着部症でやっているレントゲンで患側健側を比較して指標の閾値・感度特異度を調べる研究や、MRIでの所見の整理の研究は、足底腱膜炎でもできることに気づいた。アキレス腱が終わったら次にやろう。

2023-1-4:Excelの表から除外基準に当てはまる症例を別sheetに移動。今回の研究では、患側と健側とでレントゲン所見にどういう違いがあるかを数値化するので、両側例や踵に別の痛みがある症例は除外する必要がある。MRIについても同様に表の整理。まずレントゲン20人分(健側・患側)の測定。1時間半かかる。

2023-1-5:ビデオ論文がひと段落ついたので、残った時間、ひたすらにレントゲン計測。20人分。

2023-1-6:ひたすらレントゲン計測。22人分。

2023-1-7:今日は12人分。というか、その後調べた5人は連続して片足のレントゲンしかなかった(最近は初診時に左右両方のレントゲンを撮るようにしているが、以前は患側しか撮らなかったため。新しく手術した患者さんから順に計測している)。たぶんこれ以上のデータは得られないだろう。計74人に減ってしまうが、これでも十分な人数。

2023-1-8:集計表を統計ソフトで解析できるように整理。統計ソフト(EZR)を用いていくつか解析。アキレス腱の骨棘の長さと遊離骨の有無が、健側と患側に有意差があった。既存の指標はすべて使えないかと思ったら、意外にもChauveaux-Liet角も健側と患側で有意差があった(p=0.01)。カテゴリー変数の統計処置があいまいだったので、いくつかの統計の参考書でχ2乗検定やMcNemar検定の箇所読み。

2023-1-9:データ解析ほぼ終了。解析結果の表づくり。Chauveau-Liet角以外にも、意外と健側と患側で有意差のある指標があった。かなり興味深い結果となったので、それをどううまくディスカッションするか考えないといけない。方法と結果の下書き(日本語)。

2023-1-11:使用したレントゲン指標が発表された論文読み。

2023-1-14:Chauveaux-Liet角の論文読み。1991年の古い論文であるため書き方が多少文学的であることと、フランス人特有(?)のまわりくどさで、言いたいことが簡潔に一カ所にまとめて書かれてないため、読むのが疲れる。20歳の頃よく観ていたフランス映画のとらえどころのなさを思い出した。ただ、アキレス腱付着部症を呈する踵骨の特徴をもっと大局的な見方でとらえていることがわかり、これは新たな視点だ。面白い論文が書けそうだ。

2023-1-15:昨日に引き続き、CL角の論文読み。あまりに読むのが苦痛なので、Google翻訳して読むことに。古い論文のPDFなので、そのままGoogle翻訳にかけても訳してくれない。そこでPDFを文字認識させてWordに変換してから翻訳。読んでみると、日本語にしてもよく分からない(笑)。これは機械翻訳の精度の問題ではなく、やはり書き方の問題。昨日分かった以上に重要なことは書かれていなさそうなので、見切ることに。ふたたび文献検索。併せてMRIの文献も検索。文献のまとめの表作り。ディスカッションで書こうと思いついた内容のメモ書き。

2023-1-16:文献のまとめの表作り。

2023-1-17:文献のまとめの表作り。

2023-1-18:文献のまとめの表作り。意外にもアキレス腱付着部症のレントゲンを解析した文献は少ない。

2023-1-19:文献のまとめの表作り。どう探しても文献が少ない。これはおそらく、アキレス腱付着部症の症例を多数かかえている病院が少ないからに違いない。文献上、最も多い症例数で78例だった。八潮の症例は140例もある。これは大きなアドバンテージだ。文献をいくら探してもこれ以上出てこないので、文献探しは終了。古い論文は文献入手会社(インフォレスタ)に依頼。そろそろディスカッションを練ろう。

2023-1-21:統計で曖昧な部分の見直し。ディスカッションの下書き。インフォレスタからメール。最も古い文献は入手まで2週間近くかかると。

2023-1-22:ディスカッションの下書き(日本語)。自分が出したデータも他の研究のデータも値的には大した違いがないのに、自分のデータでは統計的有意差が出て、他のデータでは有意差が出ていないため、自分のデータ処理(統計的手法の適応)に何か問題があるかもしれないと思い、「全部やり直しか…」などと昨日まで考えていたが、今朝目覚めた瞬間、その答えがぱっと思い浮かんだ。他のデータでは対応のない検定(t検定やWilcoxon検定)を用いているのに対し、自分のデータは対応のある検定(Wilcoxonの順位和検定)を用いている。この順位和検定では、それぞれの対応したデータごとにどちらの値が大きいかを順位付けし、その順位を各グループ合計して、その順位付けの傾向に顕著な差(統計学的有意差)があるかどうかを調べる。この検定で有意差が出たということは、たとえ各グループのデータを合わせた平均値に大きな差はなくても、対応するデータ一つ一つを見れば、常にあるグループに属するデータのほうが大きい傾向がある、ということを意味する。このことが思い浮かんだおかげで、とりあえず自分のデータには落ち度はないと分かりほっとした。また、データの平均値自体は健側・患側ともに大差ないことも考え合わせると、アキレス腱付着部に変性があることそのものよりも、変性にわずかながらも左右差があるとき、より悪い方に発症する、ということも分かった。ディスカッションで書く内容の中で最も難所と思っていたところが解決した。

2013-1-23:東京新聞「紙上診察室」の取材依頼が一昨日来た。新聞の読者からの質問に回答するという内容。質問を読むと「踵骨棘」に関する質問なのだが、それがアキレス腱付着部症なのか足底腱膜炎なのか、もう一つはっきりしない。そこで、両者の違いを写真で説明しながら担当者に問い合わせ。
論文の方は、他の論文を参考にしながら、イントロダクションをどうするか構想。ただ、やはり人の論文は人の論文。結局自分で考えた段落構成になった。その下書き。

2023-1-24:方法の記載(日本語)。ベースライン特性の統計計算。表の作成。イントロダクションの推敲。方法の推敲。

2023-1-25:イントロダクション、方法、結果、ディスカッションの推敲。表の整理。参考文献の順番整理。
東京新聞の担当者の方から返事。患者さんに確認したら、どうやらアキレス腱付着部症とのこと。そうなると新聞の紙面で説明するのはやっかい。一般にアキレス腱付着部症の手術は、”大きな皮切+アキレス腱付着部切離+骨棘切除+さらに奥の骨削り+付着部再建”というおおがかりな手術しかない。内視鏡手術を行っているのは今のところ全世界で自分しかいないが(論文を読んだ医者が世界のどこかでやってみたか?)、それを新聞紙上で紹介していいものかどうか。2月3日取材なので、それまでに作戦を練ろう。

2023-1-26:ディスカッション内に引用する文献の内容の記載。

2023-1-27:ディスカッション内に引用する文献の内容の記載。本文中で引用すべき文献を追加。ディスカッションの推敲。イントロダクションの推敲。

2023-1-28:イントロダクションで引用する文献読み。どうしてもハグルンド病(ハグルンドはスウェーデンの整形外科医。英語読みではハグランド)という用語に触れざるを得ないが、こういう人の名前を冠名とした用語はどういう病態を指しているか定義が不明瞭なので、それを確認するために、その用語が出てきた頃の古い論文を読まざるを得ない。予想通りというか、やはり原著にあたると自分が思っていた(=世にまかり通っている)概念とやや違っていた。だいぶすっきりしたので、再びイントロダクションの推敲。

2023-1-29:イントロダクションの推敲。イントロダクションの英訳。方法の英訳。

2023-1-30:方法の英訳。結果の英訳。

2023-1-31:結果の英訳。ディスカッションの英訳。方法や結果は型にはまった表現で済むので、英訳もそれほど苦でないが、ディスカッションは、その英語でちゃんと論理が通っているか神経を使うので、とても疲れる。リミテーションの記載。

2023-2-1:リミテーションの英訳。結論の英訳。キーワードの選定。アブストラクトの記載。

2023-2-2:文献とまとめの表を見ながら、引用すべき文献と引用の仕方の再検討。本文への加筆。本文に文献番号記入。英語表現の推敲。

2023-2-3:2023-1-23にも書いた東京新聞に掲載する記事の作成。特に原稿を頼まれたわけではなく、記者の方が今日来院し、そこでインタビューした内容をまとめるのだが、そうするとインタビューに長時間かかったり、あちらが作った原稿をこちらが添削したりして、お互いに時間を取るばかりなので、先回りして作っておくことに。そのほうが記者の方も手間が省けていいだろう。前回の朝日新聞の記事のときもそうしたら、ほとんどそのまま掲載された。慣れた内容なのですぐ書けるが、新聞に載るとなると、エビデンスに基づいた内容にしなければならないし、予備知識のない読者にもわかるように書こうとすると、表現をよりわかりやすくしなければならないので、それなりに工夫が必要。
論文のほうは、本文の最終見直し。アブストラクトで結果の書き落としを発見。修正を試みるも制限字数内に収めるのが厳しい。

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