【Accept】母趾種子骨障害に対する関節鏡下自家骨移植術

論文日記

概要

筆者の考案した術式についての論文です。Arthroscopyへの投稿を経て、Arthroscopy, Sports Medicine, and Rehabilitation (ASMAR)に、2022-7-28、無事アクセプトとなりました(論文はこちら)。

経過

2022-3-9:開始。患者さんのデータを入力するためのEXCELファイルの整理(ID、手術日など)。

2022-3-10:手術方法の記載(日本語)。これはいつもやっていることなのですぐ書ける。

2022-3-11:手術方法の記載(日本語)。工程が多いので、日本語でも結構時間がかかる。

2022-3-12:図の選定。工程が多いので載せたい写真も沢山あるが、投稿規定では15枚まで。何を載せるか検討。図の説明。

2022-3-13:引用すべき文献のピックアップ。そもそも種子骨切除の論文が10数個しかないレアな世界。

2022-3-14:イントロダクションの下書き(日本語)。自分の論文へとつなげる論理展開に注意しながら。研究計画書と患者さん用アンケートの作成。

2022‐3‐15:方法の英訳。「関節鏡の骨用シェーバーの外筒から柄の部分を引き抜き、その外筒の先端から粉々にした移植骨を、種子骨の分裂部の長さの2倍程度まで詰めていく。どれだけ骨を詰めたかは、外筒に柄を戻し、シェーバーの先端と外筒の先端との距離を透視で見ることで確認する。」といった内容を英語にしなければならないので、とてもやっかい。

2022-3-16:研究計画書の提出。患者さんに送る住所録の作成。カバーレターと質問票の印刷。袋詰め。仕事終了後、大きな郵便局に行って郵送。種子骨障害の患者さんは若い方が多く、4月から仕事や学校の関係で引っ越す可能性も高いため、3月中に届くようがんばった。

2022-3-18:方法の英訳。包含基準と除外基準の箇所。

2022-3-20:方法の英訳。手術法・後療法・データ収集法・統計解析の記載部。引用文献の整理のためのエクセルファイル作成。文献のまとめ。途中まで作ってから、そういえば種子骨切除の論文のときにも同様の文献整理ファイルを作ったことを思い出し、見てみると、かなりちゃんと作っていた笑 このファイルにいくつかの文献を追加して利用することに。

2022-3-21:文献ファイルの整理。引用しやすい形に。方法の記載。移植骨の採取に関する部分。

2022-3-22:文献ファイルの整理。手術法の英語表現の修正。

2022-3-23:図の説明の英訳。イントロダクションの日本語原稿。レビュー文献読み。

2022-3-24:ほかの文献や本を見ながら用語の修正。「種子骨の亀裂部」とか手術器具の名前とか「移植骨」とか。

2022-3-25:手術方法内に出てくる商品名を正確な記載に(™をつけたり販売元の都市を記入したり)。表現の修正。

2022-3-26:方法の記述の修正と加筆。

2022-3-27:方法の記述の修正と加筆。自家骨移植の文献読み。

2022-3-28:イントロダクションの日本語原稿。

2022-4-3:患者さんから送られてきたアンケートのデータ集計。

2022-4-4:足の外科学会が秋に出版するテキストの原稿締め切り(割り当てのテーマは母趾MTP関節のスポーツ障害)が来週のため、そのめどがつくまで論文はお休み。

2022-4-5:今日もテキストの原稿書き。

2022-4-6:テキストの原稿書き。ターフトゥの記述はほぼおしまい。もう一つ、母趾種子骨障害の記述。

2022-4-7:テキストの原稿書き。引用文献の整理。本文中への引用文献の記入。全体の校正。図と表の作成。今日は手術がなかったこともあり、9時間かけてほぼ完成した。来週金曜に提出なので、あとはゆっくり見直せばよいだろう。また論文に戻ることに。

2022-4-9:患者さんから返送されたアンケートの整理。「おかげさまで某高校(甲子園常連の超強豪校)で野球をやっています」といったうれしい手紙もいただく。

2022-4-11:患者さんの紙カルテ取り寄せ(2年前まで電子カルテではなかった)。

2022-4-13:紙カルテとアンケートのデータ入力。

2022-4-14:結果の原稿書き(日本語)。

2022-4-17:結果の表作り。結果の原稿書き。ディスカッションで書きたいことを列挙(日本語)。

2022-4-18:イントロダクションの日本語原稿書き。ディスカッションの日本語原稿書き。

2022-4-19:イントロダクションの日本語原稿書き。イントロダクションの英訳。結果の英訳。

2022-4-20:ディスカッションの英訳。

2022-4-21:ひとまず英訳し終わった論文を最初から通読して手直し。引用文献の記入。文献読み。Mann’s Surgery of the Foot and Ankleの種子骨障害の箇所読み。

2022-4-22:イントロダクションの英文の修正。

2022-4-23:イントロダクションの英文の修正。方法の英文の修正。結果の英文の修正。

2022-4-24:結果の英文の修正。ディスカッションの英文の修正。引用文献の記載。引用すべき文献の再検討。

2022-4-25:載せるべき写真の検討。図の説明の修正。

2022-4-26:図の作成。図の説明の修正。

2022-4-27:図の作成。朝1時から始め、7時間くらいかけてひとまず完成。GW中にはArthroscopyに投稿したい。

2022-4-28:図の説明の修正。終了。統計処理の追加(follow-up期間とかBody mass indexとか)。
先天的な分裂種子骨と種子骨骨折偽関節とは区別がつきにくいこともあると一般には言われていて、この論文でも区別をしないで扱っていたが、査読者から「それぞれの患者はどちらなんだ」と突っ込みが来るかもしれないと思い、この論文に含まれる11人の患者さん(手術を受けてから2年を経過している患者さんに限定されるため、実際に手術した件数よりずっと少なくなっている)のすべてのCTを見直したが、明確に全員が偽関節だった!これは驚いた。その後もこの手術をやっているせいか、3割くらいは分裂種子骨かと思っていたが、そうではなかった。この論文に含まれる11人の患者さんのうち2人は成績不良だったが、その2人の種子骨は他の人とは違う先天的な解剖学的性質を持っていて、そのことを踏まえると、成績不良の理由が明確に説明できるのだった!新たな発見に興奮冷めやらぬが、とりあえずイントロダクションとディスカッションをかなり書き換えなければならない。

2022-4-29:「母趾種子骨障害」から「種子骨骨折偽関節」への変更に伴う本文の書き換え。イントロダクションでは引用する文献の変更も含めて書き換えなければならないが、ここで2022-4-4から数日間やっていたテキストの原稿執筆が役に立った。このテキストを書くにあたって種子骨骨折の文献を調べていたので、これを用いて書き換えることに。書き換えののち、Abstractも書いて、ひとまず完成。

2022-4-30:全体の通読。引っかかる表現はCampbell(世界的に有名な整形外科の教科書)のKindle本の検索機能で確認しながら。完了。ElsevierのLanguage Editing Serviceに提出。返却は5月6日予定。

2022-5-6:Elsevierから英語添削が返却。どう直されたかは置いておいて、提出用に修正跡を消したり、カバーレターの必要な情報を書き入れたり。Elsevierは剽窃チェックのサービスがついていないので、Scribbrという会社に頼んでみた。2,000円もしないし、ものの30秒で報告してくれるので便利。今回は自分の論文からの引用が少なかった。全体を通した見直し。他の書類も用意し、Arthroscopyに提出。査読待ちに。

2022-5-7:”Current Status”が昨日一瞬”With Editor”になってから今朝は”Submitted to Journal”になった。その後編集長からメール。提出した論文を ”This is well prepared and of high interest. Your technique and outcomes are very impressive.” とかなり褒めてくれていたが、small case-seriesであることや、種子骨疲労骨折というレアな疾患を対象としていることから、(被引用数を重要視する)high impact 雑誌では受諾が難しいとのこと(”This is a difficult problem.”と)。ASMARの方に回してよいかと打診され、これは予想通りなので、喜んで、と返事。

2022-5-12:Managing Editorから「ASMARに回します」とメールが来た。”Current Status”が”Submitted to Journal”から”With Editor”に。

2022-5-17:”Current Status”が”Under Review”に。

2022-5-27:”Current Status”が”Required Reviews Completed”に。早い。

2022-6-1:”Current Status”が”Decision in Process”に。早い(こんなに早くて”Reject”とかいうオチがつきませんように)。

2022-6-17:”Decision in Process”のまま。

2022-6-24:ASMARの編集長からメール。今回の査読コメントは6個しかなかった。それはよかったが、結果の解釈の根本的な修正を求められているので多少気が重い。この論文が通ったら、姉妹雑誌のArthroscopy techniqueに動画付き論文を招待しますとのこと。今やっている3本の論文の次は、これとアキレス腱付着部症の動画論文に取り組むか。

2022-6-26:どうも査読コメントへの対応はすぐに取り掛かる気になれない。査読コメントは論文に対する”ダメ出し”なので、「見たくない」という気持ちをまず克服しないといけない。今日はコメントをよく読んで、気持ちを整理するところまで。

2022-6-27:査読コメントに対する対応の検討。3つは簡単な修正。3つは結果の解釈に関連する書き換え。書き換えの方向性のヒントを査読者が書いてくれていた。

2022-6-28:査読コメントに応じた論文の修正。査読コメントに対する返答。今回の修正は、①いい治療成績ばかり強調しすぎない(悪い治療成績も同等に扱う)、②少ない症例数をもって他の方法との優劣を論じない、に尽きる。術式に思い入れがあるのでついひいき目に語ってしまうが、そこは科学的・客観的に、とのこと。

2022-6-29:査読コメントに応じた論文の修正。査読コメントに対する返答。できあがったので、英語添削会社(Elsevier Language Editing Service)に提出。カバーレターと査読コメントへの返答も論文原稿の最後にくっつけてしまったが、この部分は添削してくれるか?返却は7月5日予定。

2022-7-3:今朝Elsevierのサイトをチェックしたら、昨日の時点で添削は終わっていたよう。仕事が早い!早速ダウンロード。原稿の最後にくっつけておいた再提出用のカバーレターや査読コメントに対する返答もちゃんと添削されていた。添削原稿を見ながら、Track Changesを用いてASMARへの提出原稿の修正。タイトルページやカバーレターなども整え、ASMARに提出。

2022-7-4:”Current Status”は”Revision Submitted to Journal”。

2022-7-9:”Current Status”が”With Editor”に。

2022-7-26:”Current Status”が”Decision in Process”に。

2022-7-28:ASMARからアクセプトのメール。とりあえずめでたい。アキレス腱付着部症の論文日記を見直したら、ここから校正などを経て、1,2か月後にオンラインでpublishされるよう。

2022-7-30:ASMARからメール。原稿を出版社Elsevierに送りましたと。早い!

2022-8-13:Elsevierからメール。出版手続きに入るため、権利譲渡書へのサインや出版料の支払いなどを行ってくださいと。サイトに行きそれらを記入。クレジットカードで支払い完了。あとは校正原稿を待つのみ。

2022-8-22:2022-4-4から4-7まで取り組んでいた日本足の外科学会監修のテキスト(ほぼ出版されるレイアウトになっているもの)の最終校正依頼が郵送されてきた。9月2日までに返送とのこと(10月刊行予定)。出版社の方が校正したものを最終チェックするのだが、ものすごく丁寧な校正に敬意。

2022-8-23:校正が終わり、雑誌社に返送。

2022-8-26:Elsevierからメール。最終原稿のチェックを48時間以内に、とのこと。チェックすると、一か所だけ数字を直すところがあったが、それ以外は特に見つからなかった。アキレス腱付着部症の論文では利益相反の訂正を指摘したのにうまく伝わらなかったので、今回は修正箇所をマーカーで塗って目立つようにした上で、メールでもコメントして返送した。直るか?

2022-9-2:Elsevierから「オンラインで論文が見られるようになりました」とメール(こちら)。PFD版を見ると、本文と図がとてもバランスよく配置されている。修正を依頼した個所もちゃんと直っていた。

2022-10-2:強剛母趾の論文もひとまず落ち着いたので、Monthly Book Orthopaedics(全日本病院出版会)から依頼されている原稿執筆(日本語)に着手。お題は「母趾種子骨障害」。原稿締め切りが11月1日。まずは構想。

2022-10-11:原稿執筆。5000-10000語を要求されているので、期日間際になって苦しくならないよう、とりあえず語数を満たすことを目標に。

2022-10-12:原稿執筆。文献を読みながら、思いついたことを原稿にどんどん記載。

2022-10-13:原稿執筆。総説の文献集め&通読。

2022-10-15:文献を読みながら原稿内にメモ書き。

2022-10-16:どうもやり方にまとまりがなく中々進まない。そこで、小さな章立てをして、一つ一つ仕上げていく方法に変更。

2022-10-17:どうも原稿を書いていてつまらない。考えてみると、過去の論文ばかり参照しているからのよう。しかし、この原稿は月刊雑誌(Monthly Book Orthopaedics)の特集号に載せる記事なのだから、通り一遍でつまらないレビューよりも、いま最もホットな話題に焦点を当てた方がよいだろう。母趾種子骨障害の治療に関しては、悪いが世界から3歩くらいリードしているつもりだ(1歩目:母趾MTP関節鏡の技術、2歩目:関節鏡下種子骨切除、3歩目:関節鏡下自家骨移植)。それなら、自分にしか書けない記事を書くべきだ。それがダメと言うなら、自分を選んだ編者が悪い …と居直ることに。一応英語論文を出す”科学者”の自覚はあるので、いい加減な主張をするつもりはないが、それでも自分にしか書けない楽しい記述にしよう。つまりはWorld Journal of Orthopedicsからアキレス腱付着部症で依頼されている解説レビューと同じと考えればよいのだ。

2022-10-18:執筆要綱を見ると、「臨床医にすぐに役立つ解説書」「実践で行っている手技を中心に」などと書かれてある。昨日考えた方針で問題なさそう。ただ10000字は多すぎて、書いても書いても終わらない気がする。

2022-10-19:とりあえず5000字書いた。後は引用した文献の治療成績などを載せ、図(200字換算)を20個載せればよい。これ以上に字数を膨らませるより、図の作成に集中したほうが早く終わりそう。

2022-10-20:母趾種子骨障害の原稿の見直しと、母趾にあるもう一つの種子骨:hallux interphalangeal sesamoidに関する文献読みと執筆。今日は有給休暇。朝から始めて夕方にやっと本文は完成。あとは図の作成。

2022-10-22:図の作成のための準備。まずは写真集め。

2022-10-23:図の作成。明後日には終わるか。

2022-10-24:図の作成。終了。全体の見直し。大丈夫そうなので、編集部にE-mailで送った。ひとまずヒマになったので、来週の学会発表(アキレス腱付着部症)の準備に。

2022-11-26:欧州医学会(European Society of Medicine)というところから、「あなたの『母趾MTP関節鏡』の論文を楽しく読ませていただきました。欧州医学会が発行する『NewInsights & Perspectives in Surgery』というタイトルの特集号に、このトピックに関する新しい記事を載せたいと思いますが、いかがですか」というメールが来た。欧州医学会が出しているジャーナルはMedical Research Archivesというジャーナルらしく、PubMedにも載っているようだ。しかもPubMedで直接オープンアクセスになっている!?「母趾MTP関節鏡」の論文をオープンアクセスとしなかったことにつくづく後悔していたのだが、ここで出し直すといいかもしれない。。しかし思うのが、本当にこの話に乗っていいのだろうか?もう少しEuropean Society of Medicineという組織やMedical Research Archivesというジャーナルについて調査が必要。

2022-11-27:Medical Reseach Archivesのホームページ上にある論文をいくつかPubMedで調べても、題名すら引っかからない。一部の論文はPuMed上でオープンアクセスになっているのに、別の論文は題名すら引っかからないとは、どういうことなのか?PubMed Central Journal Listで調べて見たところ、これはどうも、Medical Reseach ArchivesのPubMedへの参加形式が、National Institutes of Health (NIH)(PubMedの管轄元)が資金提供した論文だけをPubMedに載せる、という参加形式であるかららしい。Medical Research Archivesのホームページを見ると、PubMedに載っている(=NIHが資金提供した)いくつかの論文を自動スクロールで見せておきながら、PubMedに引っかからない(=NIHから資金提供を受けていない)その他の論文を下に載せている。すなわち、オープンアクセスのPubMed掲載誌のように見せることで多くの論文を集めておきながら、しかしそれらの論文についてはただホームページ上でオープンアクセスとしているだけ、ということのようだ。あとづけでList of Predatory Journals(略奪的ジャーナルリスト)を調べて見たら、しっかりとMedical Reseach Archivesも載っていた。
やはり論文はちゃんとした専門誌に載せるべき。科学者の論文を載せたいという気持ちを逆手に取って商売するPredatory Journalの編集者も悪いが、まんまとだまされる科学者も悪い。ひとまずMedical Reseach Archivesからのお誘いには乗らずに、World Journal of Orthopedicsのようなちゃんとしたジャーナルからのレビュー依頼を待とう。

2023-1-23:2022-10-2から10-24まで取り組んでいたMonthly Book Orthopaedics (全日本病院出版会)用に書いた母趾種子骨障害の出版原稿の校正(2023-1-13に校正依頼が郵送されてきていた)。毎度のことながら編集担当の方の綿密な校正には頭が下がる。図に関して若干の修正などを加え、レターパックで出版社に返送。かなりの力作を書いたから、出版が楽しみだ。出版は3月中旬予定。

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