【Accept】強剛母趾かば焼き法【準備中】強剛母趾レビュー

論文日記

概要

現在当院で行っている強剛母趾の手術法 ”かば焼き法” に関する論文です。症例数が多いこと、合併症が少ないこと、どの病期にも有効であること、簡便な術式であることなどを売りとしています。Foot & Ankle Orthopaedics (FAO)に投稿し、2022-11-21アクセプト、12-21 publishされました(論文はこちら)。
今までに書いた強剛母趾の論文を受けて、World Journal of Orthopaedicsからレビュー論文の執筆を招待されたため、現在はそれに取組んでいます。

経過

2021-11-15:決意。

2021-12-3:執筆(Introductionの骨子)。質問票のカバーレター推敲。

2021-12-4:アンケート用紙の作成。加工前写真・加工用Illustrator・加工後提出用写真のフォルダ準備、方法の記述。用意すべき写真の決定。図の説明の記載。評価のパラメータの検討。

2021-12-5:Introductionの執筆。準備すべき写真の選定。図の説明Figure Legendsの執筆。

2021-12-6:Introduction, Methodsの執筆。

2021-12-7:方法(適格基準・除外基準)の執筆。Introduction内の引用文献のピックアップ。

2021-12-8:住所録の作成。77人分必要。

2021-12-10:Methodsの執筆。

2021-12-11:Discussionの執筆。Referencesの校正。紙カルテから術前スコアの転記。住所録作成。

2021-12-12:Discussionの執筆。7割程度完成。

2021-12-13:Methodsの執筆。紙カルテから術前スコアの転記。住所録作成。

2021-12-14:Discussionの執筆。

2021-12-15:紙カルテから術前スコアの転記。住所録作成。

2021-12-16:紙カルテから術前スコアの転記。住所録作成。

2021-12-17:紙カルテから術前スコアの転記。住所録作成。

2021-12-22:電子カルテぶんの住所録作成。

2021-12-27:電子カルテに記載分の術前術後データを転記。

2021-12-28:データファイルの整理。

2022-1-6:足底腱膜炎とアキレス腱付着部症の論文の手直しで手一杯なため、いったん据え置き。

2022-3-20:足底腱膜炎とアキレス腱付着部症の論文がひと段落したので再開。患者さんにアンケートを送るための120円切手を購入。今どきの切手シートはシールになっていて軽く驚き。はがすとその切手の辺縁は例のぎざぎざになっている、という凝りっぷり。

2022-3-23:患者さんアンケートの返信用封筒の切手貼り。カバーレターコピー、質問票コピー&ホチキス止め、研究計画書作成&提出、宛名と差出人、送り先の住所のシール作成&貼付、袋詰めして完成。全部で79通。仕事から帰宅後、大きな郵便局に行って郵送。

2022-3-24:レントゲンを見ながらGrade分類。

2022-3-25:統計処理の記載。イントロダクションの下書き(日本語)。

2022-3-26:イントロダクションの下書き(日本語)。

2022-3-27:方法の執筆(包含基準・除外基準)。イントロダクションの英訳。

2022-4-10:文献の整理。引用しやすいようEXCELでのまとめ。

2022-4-11:患者さんから返送されたアンケート結果のデータ入力。

2022-4-12:アンケートの通読。全61通。多くの方はとてもよくなっているが、こちらがあまり意識していなかったことの指摘などもいくつかあり、とても勉強になる。

2022-4-13:アンケート結果の点数化。

2022-4-14:アンケートの点数化。

2022-4-30:母趾種子骨障害の論文を英語添削会社に提出してしばらく時間ができたので、こちらに戻ることに。種子骨障害に集中していた間にも、続々と患者さんからのアンケートが届いていた。今日は今まで書いた分の英語の手直し。

2022-5-1:後から届いた患者さんのアンケートの点数化。

2022-5-2:最近公表された文献の追加。5個ほど増えていた。

2022-5-3:今まで書いた分の見直し。ディスカッションの日本語原稿書き。

2022-5-12:今日は有給で休みだが、こういう日でもないとレントゲンの計測に時間を充てられないので、病院に来て計測。単に術前・術後の骨の位置の変化量を計測するだけだが、自分の治療結果をつきつけられるので、1時間もするとへとへとになる。1時間で15人の進度。とても今日だけではムリ。

2022-5-14:レントゲンの計測。20人分。

2022-5-16:レントゲンの計測。30人分。ほぼ終了。

2022-6-29:紙カルテを見ながらデータの補充。データの表を統計ソフトに読み込める形に変換。データの解析。

2022-6-30:データ解析。

2022-7-1:データ解析。予想以上に治療成績がよかった(外来には症状がよくなっていない方が主に受診するので、もう少し成績不良例が多い印象だった)。

2022-7-2:データ解析。グラフの作成。

2022-7-3:グラフの作成。

2022-7-4:データ解析。グラフの作成。

2022-7-5:データ解析。グラフの作成。

2022-7-6:グラフの作成。日本足の外科学会スケールJapanese Society for Surgery of the Foot (JSSF) Scaleや痛みスケールVisual Analogue Scale (VAS)など分布の広がりの幅が広いものに関しては、ヒストグラムが見た目分かりやすいが、背屈角度といった強剛母趾患者さん間で分布の広がりの大きくないスケールに関しては、箱ひげ図のほうがわかりやすかった。

2022-7-7:グラフの作成。7-2から7-6まで作ってきたヒストグラムが全部で12個にもなってしまった。ヒストグラムの視覚への訴えの強さは魅力なのだが、これらを全部載せると煩雑になってしまう。その点、箱ひげ図なら、ほぼ同じ情報を集約して視覚化でき(ヒストグラムより視覚への訴えは少し弱いが)、3つのグラフですむ。そこで昨日から箱ひげ図を作り出し、今日とりあえず完成。ヒストグラムばかり12個も載せるのはバカっぽいので、こちらのほうがいいか。
ちなみにグラフは、EZRでの統計解析の際に出てきたグラフをメタファイルとしてコピー、illustratorに貼り付け、それを下絵として描画しているが、自分ではこの方法をとても気に入っている。グラフというのは、客観的データの提示でありつつも、「データを視覚化して読者にメッセージを伝える」という多分に作成者の意図が入ったものでもあるから、グラフの作成はその作成者の腕の見せ所となる。統計ソフトでポンと出てきたものをそのまま載せてしまうのはもったいない。

2022-7-8:図の体裁の修正。

2022-7-9:図の手直し。方法と結果の記載。

2022-7-10:結果の記載。ディスカッションで書く内容の列挙。

2022-7-11:ディスカッションで書く内容の列挙。文献の追加検索。

2022-7-20:ディスカッションで書く内容の整理。

2022-7-21:ディスカッションで書く内容の整理。この研究から言えることはどこまでか注意しながら(大風呂敷を広げないよう)。

2022-7-22:ディスカッションの記載。

2022-7-23:ディスカッションの記載。

2022-7-25:ディスカッションの記載。イントロダクションの推敲。

2022-7-26:イントロダクションのための文献集め。

2022-7-27:合併症のデータの整理。

2022-7-28:合併症のデータの整理。データの追加解析。グラフの作成。

2022-7-29:当初は6月末に投稿する予定だったが、ずるずると7月末になってしまった。その理由としては、①査読中のほかの論文の結果が気になって、この論文に集中できなかった、②データ解析をどこまでするか決心がつかず、そのため執筆も進まなかった、③今まで自分にとってまずは発表したいと思っていた論文が終わっていくことで、論文に対してのモチベーションが若干下がっていた、ことなどが挙げられる。①に関しては、母趾種子骨障害がアクセプトされ、足底腱膜切離術も何とかなりそうになり、②に関しては、以前出した強剛母趾のDLMO変法とほぼ同じデータ解析を行い、ディスカッションの中で前の論文と比較する方針に固め、③に関しては、ひとまず今年の目標として、この強剛母趾のかば焼き法、中足骨短縮症のテクニカルティップ、アキレス腱付着部症のビデオ論文、の3本は出そうと決意したことで、またやる気が上がってきた。今日はグラフの作成、表の作成。8月中には投稿しよう。

2022-7-30:新たに解析したデータ分の結果の記載。ディスカッションの記載。去年publishされた自分の強剛母趾の論文の治療成績と比較するため、久しぶりに自分の論文を読んだが、方法・結果・ディスカッションいずれも、ごちゃごちゃしていて分かりにくい!

2022-7-31:イントロダクションの記載。

2022-8-1:全体を通した手直し。

2022-8-2:図と図の説明。

2022-8-3:図の説明。ディスカッションの手直し。リミテーション記載。結論記載。

2022-8-4:図の作成。イントロダクションの手直し。最近の強剛母趾の文献集め。

2022-8-5:イントロダクションの手直し。引用文献の整理。投稿規定のチェック。統計解析の追加。

2022-8-6:論文提出用の術前後レントゲン写真の撮り直し。今日撮り直した写真で図の作成。

2022-8-7:図の作成。図の説明。だいぶ完成が見えてきた。

2022-8-8:全体を通しで読んでの修正。アブストラクトの作成。タイトルページの作成。ひとまず完成。さらにもう一度通読して修正。大丈夫そうなので、Elsevier Language Editing Serviceに英語添削依頼で提出。返却は8月15日予定。

2022-8-13:昨夜にElsevierから「英語添削が終わりました」のメール。あいかわらず仕事が早い。添削をElsevierにしてから何の不満もなくなった。Elsevierのいい点は、①添削をアメリカ英語かイギリス英語か指定できる(しなければならない)、②超大手である、ことだろう。①によって「その他の英語」の話者が添削することがなくなったし、②によりマンパワーに余裕があるからか、整形外科の論文の添削に不慣れな添削者が担当することがなくなった。
さっそく添削を見ながら提出用のファイルを準備。今回の添削では、細かな表現の修正のみだった。修正があっさり済んだので、Foot & Ankle Orthopaedics (FAO)に提出。査読待ち状態に。

2022-8-14:”Status”は”Awaiting Admin Processing”。

2022-8-20:”Status”が”Awaiting Reviewer Assignment”に。

2022-8-28:”Status”が”Awaiting Reviewer Scores”に。査読が始まった。

2022-9-6:”Status”が”Awaiting AE Recommendation”に。”AE Recommendation”て何だ?

2022-9-7:”Status”が”Awaiting EIC Decision”に。”EIC Decision”て何だ??
調べたら、AE = Associate Editorで、EIC = Editor in Chief 。recommendationと言っても単に勧告の意味らしい。

2022-9-11:寝る間際に編集長からメールが届いた。開けるのを一瞬ためらったが、つい気になるので開けてしまった。”major revision”。かなり修正すべき点も多く、それらを読んでいるうちに案の定目が冴えて3時間ほど寝られず。

2022-9-12:査読者のコメントの整理とそのコメントに対する日本語での返答。コメントは全部で66個。このリビジョンによって急に忙しくなってしまった。修正原稿の提出が10月11日まで。ほかに学会発表が11月初旬にあるし、足の外科のテキスト執筆依頼も11月1日期日で1つある。アキレス腱付着部症のビデオもいいところまで書いているので速やかに出したいし、ここ1,2か月、遠方からの患者さんや紹介患者さんが3-5割増しになった印象があり、予定手術が建て込んでいる。少し気持ちの集中を高めなければならない。

2022-9-13:査読コメントに対する返答(日本語)。論文がpublishされるまでの過程の中で、もっとも気に進まない工程。

2022-9-15:査読コメントに対する返答(日本語)。一人目の査読者は、自分の経験のみに基づいた言いがかりのようなコメント。言い返したいのを抑えつつ、相手の意見を尊重しながらもこちらの主張もデータを交えながら返答。このやりとりをエディターも見ている。

2022-9-16:査読コメントに対する返答(日本語)。二人目の査読者は、コメントで修正すべき点が明快だった。それに加え、自分の考えた二つの術式の違いについて、とても明快に説明してくれていた。この違いは自分でも気づいていたものの、論文内では別の観点で違いを説明してしまっていたため、論旨が分かりにくくなっていたのだが、その点を、この査読者はたった一度の査読の機会に見抜いたのだった! 確かにこの査読者が指摘した観点で術式の違いを説明した方が論旨がはっきりする。これはとてもありがたい指摘だ。

2022-9-17:FAOからメール。各査読コメントとその横に返答欄と論文内での修正を書く欄が付いた一覧表が、Wordファイルで送られてきた(FAOの論文のリビジョンは、この表に記入するスタイルを取っている)。さっそくそれぞれの査読者に対応する部分を青、緑に色分け、今まで書いた分の返答を記入。

2022-9-18:査読コメントに対する返答。表を埋める形式だと、作業が進んでいるのを実感できるので楽。ただ、二人目の査読者は鋭い。こちらが引っかかることがありながらも書いている部分をしっかり指摘してくる。「その理由からはその結論は導き出せない」とか「それは憶測に基づいているので、~の場合も成り立つかどうかは疑わしい」など。

2022-9-20:相変わらず査読コメントに対する返答と修正。だいぶ目途が立ってきた。

2022-9-21:査読コメントに対する返答。

2022-9-22:査読コメントに対する返答。主に第一査読者のコメントに対して。たびたびニュートンの「自分の意見を通したいなら、相手を怒らせないことだ」という金言が思い浮かぶ。

2022-9-23:査読コメントに対する返答。今日は祝日。こんなに一日中英語コメントに対して英語で返答し、論文に英文を書き加え続けていると、そのまま外国人になりそうな気になる。

2022-9-25:査読コメントに対する返答と原稿の修正。全部で62個もコメントがあるので、やってもやっても終わらない気がする。来週末までには終わらせて、Elsevierの英語添削に出さないと。

2022-9-26:査読コメントに対する返答と論文の修正。ひたすらに一覧表の穴埋め。まだ空欄が目立つ。朝(2時ごろ)も段々寒くなってきた。

2022-9-27:62個の査読コメントに対し、返答と修正をそれぞれ示さなければならないので、表では全部で124個の空欄を埋めなければならない。あと10数個。

2022-9-28:今日は有給。夏休みは取らない代わりに、こうして細切れに休むようにしている。査読コメントに対する返答と論文の修正。今日で終わるか?
それにしても、この査読コメントに対する返答は、日常生活のあらゆるストレスの中でも最上位に位置するストレスだ。鋭い指摘や痛い指摘、しつこい指摘、言いがかり的な指摘など、あらゆる指摘に対して、ベストな回答を、しかも英語でひねり出さなければならない。いい加減に返答したり逃げたりしたら”Reject”が待っている。いくら答えたくなくても、1問たりとも未回答では済まされない。刻々と期日も迫ってくる。。
それでも論文の査読を受けてよかったと思うことは、自分では考えても見なかった指摘を受けることだ。今回の論文でも、自分の中では無意識に「仕方がない」と思っていた、病期(グレード)が進行すると背屈角度が落ちることに関し、査読者2は、「グレードが進むにつれて治療成績が落ちている」と見なしていた。そう言われれば確かにそうだ。するとそれをきっかけとして、ではグレードの進んだ強剛母趾でも、グレードが進んでいない強剛母趾と同等の背屈角度になるようにするためにはどう改善すればよいのか考える。決して治療法に「これでよい」などない。このように治療成績を論文として出し、同業の査読者から自分の見落としていた点の指摘を受け、それを契機にさらに考察する…という繰り返しこそが、治療をよりよいものとしていく最良の方法だろう。
とりあえずすべての空欄は埋めた。ただ、その回答が本当に適切か検討していないし、訂正によってアブストラクトは大幅に字数オーバーになってしまっているし、直すところはたくさんある。今日は疲れたのでここでおしまい。

2022-9-29:査読コメントに対する返答と原稿の修正箇所の見直し。一度目に苦労したからか、意外とすいすい見直しが進んだ。カルテを見て追加のデータ集計(スポーツ活動について)。

2022-9-30:査読コメントに対する返答と原稿の修正箇所の見直し。査読者の要求を全面的に受け入れることによって、論文の独りよがりな部分が改善され、だいぶ科学的になったような気がする。

2022-10-1:ひとまず完成。本文が4500語に対し、査読への回答が6200語。このままではElsevierに字数オーバーで添削してもらえない可能性があるので、重複する記述をカットした添削用のファイルを作る必要がある。仕事の後、気合でファイルを作成、修正原稿の最後に貼り付けて、Elsevier language editing serviceの英語添削に提出。返却は10月7日予定。

2022-10-6:Elsevierから添削の返却。今回はちょっと多めなはずだったが、それでも期日前に返却された。いつも感心するが仕事が早い!早速添削を見ながら論文と査読に対するコメントの手直し。提出用のファイルを整えて、FAOに再提出。どうなるか。

2022-10-8:”Status”は”Awaiting Admin Processing”。

2022-10-9:”Status”が”Under Review”に。

2022-10-10:”Status”が”Awaiting Reviewer Assignment”に。

2022-10-14:”Status”が”Awaiting Reviewer Scores”に。

2022-10-29:”Status”が”Awaiting AE Recommendation”に。

2022-10-30:”Status”が”Awaiting EIC Decision”に。

2022-11-1:FAOの編集長からメール。前回の査読者1は”Accept After Minor Revision Without Re-review”、査読者2は”Accept”だった。査読者1からまたいくつか指摘があったので、そこを直せばAcceptになりそう。さっそく指摘に対する対応の検討。まずは日本足の外科学会スコアの評価項目を図か表にせよという課題。表は個数制限に達しているので、図にして対処することに。Illustratorで作成。

2022-11-3:今日から日本足の外科学会学術集会。学会場の広いスペースで聞きたい発表や講演の合間の時間に論文作業。途中、仲良しの小松史先生@ひたちなか小松整形外科医院に声を掛けられ、しばし会話。査読者1から指摘された箇所のチェック。日本人なら「その位推測して下さい」の一言で済ませたくなるような指摘。しかし英語論文ではclarity不足として要求を飲まざるを得ない。アクセプトは近いのだ。

2022-11-4:FAOから査読に対する返答を記入する表が送られてきた。まず論文を修正したのち、査読に対する返答の作成。今回は質問が13個と少ないため、ほぼ終了した。査読者1の指摘は一見言いがかりに思えるものが多いが、それでも相手の意向を反映するように修正すると、論文が少しよくなった気がする。

2022-11-5:昨日で足の外科学会は終了。今日家に戻る。松山空港で飛行機を待ちながら、論文の修正部と査読に対する返答の見直し。とりあえず大丈夫そうなので、Elsevier Language Editing Servicesに英語添削のため提出。
査読者1は変な言いがかりのような指摘ばかりしてくるのに、その要求を受け入れるとなぜか文章が良くなるのか不思議でならなかったが、その理由がやっと分かった。査読者1は査読コメントの英語からして明らかに非ネイティブで、査読者2はネイティブだった。査読者2が気にしないところを査読者1はいちいちしつこく指摘してきたが、ネイティブだと非ネイティブの書いた多少の英語の分かりにくさは”察して”くれるのに対し、非ネイティブはそのような分かりにくさに対して手厳しいのである。だからこちらにしてみれば、査読者1が指摘してくることに対し、最初は「なんでこんな英語も分からないんだ!?」と憤りを感じるのだが、やはりそこには多少なりとも分かりにくさが含まれているので、改めてそこを推敲すると、確かに改善されるのである。

2022-11-9:夕方にElsevierから「英語添削が終わりました」のメール。いつもなら明日の朝に持ち越すところだが、一刻も早くアクセプトしてほしいので、仕事が終わってから添削が終わった原稿を提出用に修正し、さらに査読に対するコメントを提出用の表に書き写し、提出へ。投稿し慣れているジャーナルなので、投稿のときのピットフォール:1. Abstract 内のサブセクション(Background、Methods、Results、Conclusion)を記入する囲みにその通りに記入すると、確認PDFではMethods以下がすべて消えてしまうので、Background欄にAbstractすべてを記入した上で、Methods以下も埋めなければならない、2. カバーレターの記入欄と添付ファイルをこの順番に処理しないと「カバレターファイルが提出されていません」の表示が出てしまう、3. Wordファイルが確認PDFファイルに変換される際に行番号がずれるので、それを見て査読に対するコメントの表に書かれた行番号を修正しなおさなければならない、も承知している。差し替えの原稿やら画像ファイルやらをアップロードしながら、特に問題なく2時間程度で提出完了。アクセプトお願いします!

2022-11-10:”Status”は”Awaiting Admin Processing”。

2022-11-22:FAOからアクセプトのメール。とりあえずよかった。。
この論文の道のりは全般的に苦しく、アクセプトされる前には「アクセプトされたらこんな論文日記を書こう」と苦しかったことを吐露する内容を考えていたが、アクセプトのメールを見たら忘れてしまった。この「苦しかったことはすぐに忘れる」というのは自分の中で重要な特性だと思っている。目標が達成されたのに、いつまでも苦しかったことを覚えておく必要もないだろう。
メールの中で、例によってまたビデオの提出の勧誘があった。足底腱膜炎の論文でも動画を出したが、今年FAOに掲載された論文の中で動画を併せて提出したのは自分だけなため、いつまでもFAOのホームページ内の動画ページを開くとすぐに自分のビデオが出るという状態が続いていて、おかげで今日現在、論文のダウンロード数が579になっている。自分の考えた術式の布教活動には動画はとても有効なので、今回も作ろう。
今回、自分の書いた論文が、アメリカ足の外科学会(American Orthopaedic Foot & Ankle Society, AOFAS)の発行する雑誌であるFAOに載ったのは意味のあることだと自分では思っている。強剛母趾に対する骨切り術は、ヨーロッパの足の外科医、アメリカの足病医(podiatrist)の中では広まっているものの、アメリカの足の外科医の中では広まっておらず、あいかわらず骨棘切除(cheilectomy)や関節固定などが行われている。これは歴史的な術式の変遷の中で残った”負の遺産”と自分は考えているが、その牙城に切り込むことができた(今までの強剛母趾に対する骨切り術の論文はほとんど、ヨーロッパの雑誌かアメリカのpodiatrist運営の雑誌にアクセプトされている)。この論文とビデオによって、少しずつこの”負の遺産”が切り崩されていくことを期待している。

2022-11-23:FAOからメール。今後の手続きについての通知。1週間以内に出版社SAGEから届くメール内のリンクをたどってオープンアクセス寄稿者契約を結ぶと、記事の公開に向けての準備が始まり、その2週後に届く記事の校正をチェックして返送すると、記事はオープンアクセスで公開されると。ぎりぎり年内に公開されるか。

2022-11-25:FAOにツイッター用のサマリー(280文字以内)とビデオ作成の意思があることをメール。60日以内(できれば20日以内)にビデオを作成しなければならない。

2022-11-26:SAGEからオープンアクセス寄稿者契約に関するメール。メール内のリンクに行き、ライセンスにサイン、さらに論文処理手数料を誰が支払うか指定、するとすぐさまSAGEからメールが来て、記事公開に向けての準備を始めますと。支払いをクレジットカードでしようとするも、前回同様、やはりブロックされてしまう。銀行行き決定。再来週の有給で支払いに行こう(支払期限12月25日まで)。

2022-12-7:SAGEから記事ができたので最終校正をするようメールが来た。早速見ると、図の説明がすべて欠落している!!こういう重大なミスは本当に勘弁してほしい。それらを付け加えて返送。ちゃんと直るのか?

2022-12-8:今日は午前休を取ってあるので、オープンアクセス手数料の支払いの手続き。まずは三菱UFJ銀行の外国送金Webサポートのサイトに行き、送金に必要な情報の入力。前回の入力履歴が残っていたので、SAGEの住所や振込先銀行の入力などは楽だった。入力が終わると、最後に「外国送金依頼書告知書」なる紙が出てくる。これを印刷し、外国銀行に送金のできる銀行へ。他に補足となる資料や印鑑、通帳、身分証明書などの持参が必要。ネット入力から1,2時間後に行くべきらしい。出かける準備をして、前回同様青山通支店へ。朝の渋谷は通勤の人たちが黙々と歩くだけで、店もほとんど開いていなく、まだ眠っているかのよう。人の流れに逆らいながら半蔵門線の渋谷駅プラットホームへ。半蔵門線の混雑や青山の意識高い系やオフィスビルの閉塞感に窒息しそうになりながら、三菱UFJ銀行で支払い終了。帰りは銀座線で渋谷へ。そろそろ通勤時間も終わり、空席も目立っていた。新しい銀座線の渋谷駅は、かつての東横線の渋谷駅のような開放感があって心地よい。とりあえず支払ったし、校正も終わったので、あとはpublishを待つのみ。

2022-12-16:アキレス腱付着部症のレビュー論文が終わったのでヒマになったので、FAOから言われている強剛母趾手術の動画の作成。まずは撮影した未編集の動画の視聴。

2022-12-17:SAGEからの再校正原稿が1週間経ってもまだ来ない。図の説明をごっそりすべて落としているという致命的なミスをしたために、レイアウトなどすべてやり直しで手間取っているか?なかなかpublishされないので、ビデオ作成も急がなくていいので気楽。今日も撮影した手術動画のチェック。

2022-12-19:動画の各場面の時間をメモ。各場面のナレーション原稿をいつものように「音読さん」の “Jenny” で録音。音声ファイルの秒数を見ながら、各場面の秒数を計算。生動画から切り取る箇所の特定。今日は業務が忙しかったのでここまで。家のパソコンでは動画処理の途中でフリーズしてしまうので、明後日病院でやろう。

2022-12-20:SAGEからメール。オンラインでpublishされましたと(こちら)。校正のときに図や表の説明がごっそり抜けていたが、ちゃんと直っていた。
この1本はとてもうれしい。夏に立て続けに4本論文を出せたが、その次に出したケースレポートが査読されずに数か月間放置されてすっかり調子がくるってしまったり、秋には雑誌やテキストの執筆依頼などがあって思うように進まなかったり、この1本にしても初回査読で66個のコメントが来て苦しい思いをしたりと、かなりの難産だった。しかしこれで年間5本出すことができた。これは自分でも満足だ。
この論文は確かにpublishされてうれしいが、しかし査読者から新たな課題を与えられた論文でもあった。この骨切り術によりどのグレードの強剛母趾でも痛みが引くので「どのグレードでも治療成績が良い」と自分は思っていたが、査読者の一人はグレードが進むにつれて可動域が落ちていることを軽視しなかった。すなわち、自分の中では「グレードが進んだ症例はもともと可動域が悪いのだから、術後にも多少悪いのが残ってもしかたがない、痛みが引いたのだから十分だ」と思っていたが、査読者の一人はそうはとらえなかったということだ。言われてみればたしかにそうだ。では、グレードが進んでも可動域がよくなる方法はないのか?実はこれは自分の中では答えをもっている。骨切りをした患者さんで、痛みがよくなっただけでは満足せず、希望によりその後に関節鏡下に骨棘削りをした患者さんが何人かいらっしゃるのだが、その方達は可動域が改善してとても満足している。しかし、この関節鏡手術にはやっかいな点があり、①骨切りに先立って関節鏡をしてもあまり治療成績がよくない、②リハビリをしっかりやらなければ可動域はよくならないが、そのリハビリは結構痛い、などである。これをどう克服し、強剛母趾の治療をよりよいものに体系化していくか?それが次の課題だ。

2022-12-21:手術の生動画から予定した部分を音声を消しながら切り取り、その動画に題名やナレーションを、これまた予定した秒数のところに乗せ、各場面をつなげて完成。アクセプトのメールの中に書いてあった動画提出サイトに行き、論文のタイトル名や査読時のmanuscript IDなどを入れつつ、動画をアップロードして提出完了。FAOに提出された動画は、2022年は自分がこの前出した足底腱膜炎の動画だけなので、さらに自分の動画が1本加わり、FAOのホームページの動画サイトを完全私物化するのに成功。

2022-12-31:今日までに論文ダウンロード数が75。予想より多い。やはり強剛母趾の術式でカイレクトミーや関節固定などに疑問を持っている足の外科医が少なからずいるということか。

2023-1-7:ついこのあいだ強剛母趾の論文がpublishされたせいか、強剛母趾に関する査読依頼のメール。「ハイ喜んで」と返事。早速見ると、足の外科で有名なヨーロッパの某大学からの論文。強剛母趾に関するパイロットスタディのプロトコールの査読という変わり種。

2023-1-11:査読原稿読み。ちゃんと実験しようとしているのはよくわかる。しかし、それではうまくいかないと思う点も沢山みられる。たとえば、母趾の関節可動域を徒手的な角時計で測っているが、これは角時計の当て方によって、簡単に10°くらいの誤差が出てしまう(角時計を用いたことのある人ならだれでも実感していること)。測定の観察者内の再現性や観察者間の差が考慮されていない。また、他動的に背屈させて角度を測っているが、これも力の入れ具合によって簡単に5°は変わってしまう。この力の入れ具合の定量的な評価がなされていない、…など。つくづく人の研究に言いがかりをつけるのは楽な仕事だなと思う。

2023-1-12:査読コメントの下書き(日本語)。見れば見るほどダメな実験だと思う。強剛母趾の患者さんへの関節内注射の確立を念頭に置いたキャダバー実験だが、キャダバーと生きた強剛母趾の患者さんでは、関節の状態があまりに違いすぎる。キャダバーの関節はそもそも強剛母趾ではないから骨棘もないし関節腔も狭くないし、筋肉に力も入っていないし痛くもない。「注射のときにはこうやって関節を曲げて」などと書いているが、強剛母趾の患者さんはそんなに関節が曲がるものか。どうも実験をやっているうちに、それが臨床的にどういう意味を持つのかといった視点を忘れてしまうようだ。

2023-1-17:査読コメントの文の推敲。締め切りは20日。

2023-1-18:査読コメントを英語に翻訳して提出。プロトコールをかなり抜本的に見直すべきコメントを書いたが、果たして直るのだろうか。まぁそれはその人次第。自分の論文に戻ろう。

2023-2-1:ORCID(オーキッド)からメールが届いて、「Journal of Visualized Experimentsがあなたのプロフィールを変更しました」と。先日(2023-1-7)査読をやったジャーナルが、自分のORCIDの中に、査読の履歴を書き込んだとのこと。ORCIDというのがよく分からないので調べてみると、どうやら全世界の研究者に割り振られるIDとのこと。たとえば同姓同名の人がいても、ある研究がどちらの人の研究か間違えなくて済むし、ある人のおこなった研究を他の研究者が見つけやすくなるとのこと(Y. Wangという執筆者の論文は1日10数本も出ているそうだ)。ORCIDへの登録は、Foot & Ankle Orhopedicsにアクセプトされたときに強制的にやらされた。なんだかプラスになりそうなシステムなので、その査読履歴を確認しに行ったついでに、自分の過去の論文をすべて登録しておいた。

2023-2-17:Journal of Visualized Experiments(JoVE)からメール。1月7日~18日に査読していたヨーロッパの某大学の論文が修正されたので再査読をお願いしますと。足の外科では有名な大学の研究なのに、いくらでもデータを操作できそうなプロトコールを提出してきたものだから、そんなズルは許さんとばかりに無理難題な修正を要求して返却したが、ほぼ4週間で修正してきた。相手も本気だ。すぐに再査読を承諾したくもなるが、今は提出を差し戻されたアキレス腱付着部症のレントゲン論文の修正をしなければならないので、その目途がある程度立ったら承諾しよう(承諾までに7日間の猶予がある)。

2023-2-19:アキレス腱付着部症のレントゲン論文差し戻しに対する修正が終わったので、JoVEから依頼された再査読を承諾。さっそく修正された論文をダウンロード。ざっと見たところ、あまり根本的な修正がされていない。この論文で示された実験プロトコールの不備は、文面をちょっといじっただけでは済まされない問題なんですよ。真摯な対応をしないのならば、Rejectを勧告するだけだ。

2023-2-27:アキレス腱付着部症のレントゲン論文の再差し戻しの提出(記入欄のあるSTROBEチェックリストの提出)が終わったので、またJoVEから依頼された再査読。オリジナルの原稿と修正原稿を1行1行見比べたが、実験の根本的な部分は一切変えず、リミテーションに査読者が指摘したことを加えただけ。こういう居直りってどうなんだ?方法が科学的に見てあまりにお粗末だから、もっと頭を使って改良せよ、とこちらは言っている。バカなのか?

2023-2-28:再査読のコメント書き。昨日はひどいことを言ったが、今日になっても同じ意見だ。査読者に「ここはこういう点でよくない」と言われたら、何かしら対処をするのが普通だろう。完全無視はありえない。自分の方法は何一つ変える必要のない ”完璧なもの” とでも思っているのだろうか。また、査読者の意見に対し何の対処も施さなかったら、査読者はどういう評価を下すのか分かっていないのだろうか。それらすべて含めて〇〇としか言いようがない。

2023-3-2:査読コメントの英訳。Reject勧告の理由の記載。

2023-3-4:査読コメントの見直し。もう一度論文原稿を読み、査読コメントに間違いがないかどうか確認。JoVEに提出。
Rejectの査読コメントを提出するのも気分が悪い(添付ビデオで著者がスペインの若い真面目そうな女医さんだとわかっているだけに)が、査読で指摘されたことに対してしっかりとどう対応すべきか考えないのが悪い。そもそも、あんなお花畑のような実験計画を作って、それで何かを証明したと本気で思っているのだろうか。測定の再現性はどうか、測定誤差はどうか、サンプル数は十分か、方法に汎用性があるか、その実験が臨床的意味を十分反映するものか、など、考えるべき点が無数にあるのに、何一つ考慮されていない。初回提出である程度の不備があるのは百歩ゆずっていいとしても、指摘されたら、「確かにその点は考慮していなかった」と反省して、じゃあどうしたらよりよい実験になるだろうと考えるのが普通だろう。論文をアクセプトしてほしいと願うのはどの著者でも同じだが、ただただアクセプトを急いで、科学的に不備のある状態を良しとしてしまってはダメだ。仮にそんな論文がアクセプトされたとしても、著者たちはダメな論文が後世に残って恥をかくだけである。査読コメントに対応するのが苦しいのは分かるが、ここはぐっと我慢して、科学に対して真摯な姿勢でコメントに対応しなくてはダメだ。

2023-11-13:2023-9-24にWorld Journal of Orthopedics (WJO)からレビュー記事かオリジナル論文に招待しますとメールが来て、強剛母趾の骨切りに関するレビュー論文を書くことに決めたが、そろそろ着手しないと間に合わないので始めることに。
書くのはがんばれば速くできるが、文献調べ&入手は急いでも限界があるので、まずは十分に文献検索に時間を割かなければならない。作戦としては、今までに集めた強剛母趾の骨切りの文献に加え、最近の文献、強剛母趾の病態に関する基礎的な研究の文献、カイレクトミーや人工関節などの別の手術法に関する文献などを集めるか。OneDriveの中の論文のファイルの中に「強剛母趾のレビュー論文」のファイルを作り、原稿のWordファイル、文献のExcelファイルなどを作成。Excelファイルは、この前の「かば焼き法」で作ったExcelファイルに加筆していく形を取ろう。

2023-11-14:今朝も引き続き強剛母趾の文献。結構手持ちの文献も多いので、それらにまず目を通しているのだが、どのレビューも通り一遍に各術式の治療成績を陳列したものばかり。強剛母趾の病態にぐっと近づいていくような迫力のあるものが見当たらなかった。

2023-11-15:手持ちの強剛母趾の論文を読み始めたが、これらからまとめを作っていくのは漠然としすぎていて難しい。むしろ自分が書きたいことをおおまかに枠組みし、その枠組みに合う論文を新しく探した方が簡単そう。さっそくおおまかな枠組みを作ったのち、それに合った論文をPubMedで検索。すると、今まで読んだことのない論文がぼろぼろ見つかる。やはりこちらの方法の方がよさそうだ。

2023-11-17:検索した文献をダウンロードして読み始めた。そろそろこの論文の制作にどっぷりつかった生活をしなければまずい。

2023-11-18:去年WJOに出したアキレス腱付着部症のレビュー論文のあしげ日記を読んだ方が良いとアドバイスを受け、読んでみた。すると、すごく良いことが書いてある(笑)。どうしてこんなに良い経験を積んでいるのにそれが生かせないのだろう。自分のバカっぷりにはあきれるばかりだ。去年のあしげ日記を先生として、その通りにやってみよう。

2023-11-20:前回のWJOに出したアキレス腱付着部症のレビュー論文も、だいたい同じ時期から始めたようだ。まずは論文の枠組みを作ったのち、それぞれについて文献検索、その文献からピックアップする内容を2,3文でまとめて原稿に書き加え、それらを見比べながら文章を整えていけばよい。
WJOからの招待状には次のように書かれている。「我々はあなたに『解説タイプのレビュー(commentary review)』を書くことを希望します。その中では、あなたの最新の研究結果に基づいて、新しいアイデア、新しい視点、新しい方向性を提案し、この分野の現在の進歩と将来の方向性について議論することができます。このような解説記事は、読者や研究者への一般的なガイドとして機能し、この分野の発展の方向性を導きます」。通り一遍のレビューでなく、こちらの意見を求められているのだ。それを前面に出していこう。
まずは改めて枠組みを考え直した。自分が強剛母趾の治療について言いたいのは、①母趾の背屈制限は母趾列の骨の下の軟部組織の問題であるはずなのに、そのことがまったく注目されていないということ、②中足骨骨切り術は比較的病態に即した治療法であること、③カイレクトミーは病態にそぐわない治療法であるということ、④底側の軟部組織に注目した治療法はまだないが、その中で種子骨切除は評価すべき治療法であること、などだ。

2023-11-22:人のレビューを読んでいいことがない。知識が書けているときには参考になることも多いが、自分がレビューを書く段階となると、もはやまとめ方を見るのがじゃまに思えてくる。大切なのは原著の結果であって、それをまとめ上げるのは自分の頭だ。人の頭は必要でない。自分で一つ一つ文献を吟味して集めていくしかない。

2023-11-24:文献検索と各文献のまとめ。

2023-11-25:文献を読み、そのまとめを自分の論文原稿内に記入。いきなり完璧なまとめはできないが、どの文献を重視してまとめていくかがわかるように記載。取り上げる文献にも強弱をつけないと、通り一遍のレビューになってしまう。他の人のレビューは読むというより、引用している文献だけを見た方が効率が良い。

2023-11-27:ひたすらに文献を読んでは自分の論文内に記入する作業。1時間で2,3個は記入できる。全部で90個くらい引用すればいいから、50時間くらいあれば記入し終わるだろう。一日5時間できれば12月初旬には終わる。あとは文を整え、表を作り、必要に応じて図を作る作業を16,17日の週末までに終わらせ、英語校正に出せば間に合いそう。ここ2週間が正念場だ。

2023-11-28:朝1時半に自然と目が覚めた。この時間に起きてしまうと昼に眠くなるのは確実だが、目が覚めたての元気な時間を論文に充てないのはもったいないので、そのまま起きることに。
今まで集めた強剛母趾の論文を十分に生かしていないため、改めてMendeleyに保管してある論文のチェック。前回のアキレス腱付着部症のレビューのときに使った手法:アブストラクトだけ和訳するのと、その論文の重要な点をタイトルの先頭に記入することで整理。だいぶ俯瞰できるようになってきた。

2023-11-29:ひたすらにMendeley内の文献のAbstractをGoogle翻訳してざっと把握、本文を見た上で引用できるものは自分の論文内に記入の繰り返し。

2023-11-30:今朝も朝2時半から論文。論文は元気な時間にしかできないので、目が覚めた時しかチャンスがない。Mendeley内の論文の把握。膨大な文献数を引用した包括的なレビュー論文を見ると、同系統のレビューをしても勝ち目はないし意味もないことを痛感する。そうではなく、自分が書くべきは将来の研究の方向性を示すような論文だ。
手術が終わってからもMendeley内の論文の整理。手術が終わると集中力が落ちていてとても論文の作業などできないのだが、日程的に厳しいので、できることをどんどんやっていかなければならない。

2023-12-1:今日から12月。まずい。Mendeley内の文献の整理。

2023-12-2:Mendeley内の文献の把握終了。足りないところはあとから文献検索で補充するかもしれないが、とりあえず論文を書けるくらいには把握した。まずはイントロから執筆開始。今まで強剛母趾について考えてきたことを文献の紹介を交えながら書いていく作業。言いたいことはおおまかに、①今の強剛母趾の治療は病態を考慮に入れたものになっていない、それを考慮した術式は皆無、②中足骨骨切りはその中でもまだましな術式、③カイレクトミーの発想は基本対症療法、しかも関節の侵襲が大きく発展性もない術式、といった具合。

2023-12-3:朝強剛母趾の論文のことを考えながら起床。だいぶ気になってきた。まずは一つ目のセクション:母趾の付け根の関節の下側の組織についてのレビュー。ここにある組織の拘縮や短縮で母趾の背屈制限が起こるのはまず間違いないのに、この部分に焦点を当てている論文は限られている。このセクションを書いている際、すごい論文を見つけた。1927年にCochraneが書いた論文で、現在のカイレクトミーに当たる術式に疑問を抱き、関節の底側の関節包靱帯と単母趾屈筋を分割する手術を考案、12人に行ったところ、皆可動域制限や愁訴が解消された、という論文だ。まさに強剛母趾の原因に直結する部分にメスを入れている。この論文を見つけたことで、自分のレビュー論文の迫力もだいぶ増した。

2023-12-4:最初のサブセクションに入れる文献を時系列に並べ、まだ内容のメモ書きの整理。

2023-12-5:今日も遠方の方からお問い合わせのメール。「カイレクトミー後も痛みが改善せず、あとは固定術しかないと言われています。どうしたらいいでしょうか」と。今までにこのような方が当院で5、6人中足骨骨切りの手術を受け、よくなっている。カイレクトミー撲滅に向け、レビュー論文を頑張らなくては。最初のサブセクションで取り上げる文献とその内容はだいたい定まったので、次のセクションの文献選びへ。

2023-12-6:文献の選定とどの順で引用するかの並べ替え。いよいよカイレクトミーの文献の選定。カイレクトミーがいかに捨て去っていい術式であるかを、過去の文献を冷静に根拠に論じなければならない。

2023-12-7:だんだんとあせってきた。去年のアキレス腱付着部症のレビューと進行具合はほとんど同じなのだが、去年と違うのは、今年は英会話をやっていることや、病院のパソコンが妙に遅くなって(医者が増えたため?)Mendeley内の文献が見られず、病院で作業ができないことなどで、時間がずいぶんと制限されている。それゆえ、朝の出勤前の時間くらいしかまともに作業できない。
ひたすらに文献を読んで短くまとめる作業。昔の論文は治療成績の評価があいまいなので引用しにくいが、2000年以降の論文は治療成績が明示してあるのでまとめやすいし引用しやすい。

2023-12-8:文献読みと数行のまとめ。カイレクトミーが終了。あとは強剛母趾の関節鏡手術と骨切り術の文献チェックだが、これはすでにだいたい把握しているので楽。

2023-12-9:強剛母趾の関節鏡手術の文献のまとめ。ほとんどの論文がまゆつばものばかり。自分は母趾MTP関節鏡の技術は世界一だと勝手に思っているが、ほとんどの論文の関節鏡写真を見ると、この程度にしか視野を作れないのに手術がうまく行くはずがないのはすぐわかる。どうせ関節鏡でうまく見えないから最後は透視を見ながら骨を削ってごまかしているのだろう。こういう嘘つきがいるから、慣れない医者はうまくできないのは自分の技術のせいだと思ってしまう。よし、自分の論文では、強剛母趾の関節鏡はなぜ難しくて、関節鏡だけで手術を完結させようとするのがいかにナンセンスか、また、本来強剛母趾の関節鏡はどうあるべきかも論じよう。

2023-12-11:文献のまとめ。骨切りに関するもの。だいたい把握できたので、いよいよ原稿執筆開始。まずは文体など気にせず日本語で書きたいように下書き。言いたい放題なので楽しい作業。

2023-12-12:各サブセクションの段落構成を考えながら、書くべき内容と引用するべき論文の振り分け。

2023-12-13:「まだ下書きの段階なのだから、どんどん書いて筆を止めるべきではない」と思いながら目が覚めた。時間は2時55分。30分程布団の中で最初のサブセクションから次にどうつなげるか考えて起床。イントロダクションを書いたのち、それに沿って各サブセクションの下書き。

2023-12-14:サブセクションの中の中足骨骨切りの下書き。書くことがありすぎて困る。

2023-12-15:朝1時半に自然と目が覚めた。まだ寝足りない時間だが、目が覚めた瞬間の頭の疲れていない時間というのが今はとても貴重なので、そのまま起きて論文をやることに。英語を添削してもらう時間を考えると、あと1週間くらいしかない。カイレクトミーの下書き。関節鏡下カイレクトミーの下書き。

2023-12-16:ひとまず下書き(日本語)は終了。続いて下書きの文の校正。校正しながら英訳、ジャーナルのガイドラインに沿うように体裁の整え。

2023-12-17:今朝も1時半起き。日本語の下書きを英語に訳す作業。Google翻訳で英語にして手直ししようとしたが、翻訳された英語は日本語の香りがしすぎていて使い物にならない。逆に手直しに時間がかかるので、自分で翻訳したほうがまし。

2023-12-18:今朝は3時半起き。3時半起きが一番体の調子がいい。中足骨骨切りの英訳まで終了。後はカイレクトミーと関節鏡下カイレクトミーの英訳、それが終わったら図の説明と結論、アブストラクトを書き、図を作ったら終了。図は本文を英語添削に出している間に作ろう。

2023-12-19:カイレクトミー英訳。途中、カイレクトミーと似ていてより侵襲の大きいValenti法に関する文献検索の追加するも、話を広げすぎると焦点がぼやけるので全部削除。関節鏡下カイレクトミーの英訳。あと少し!

2023-12-20:朝1時に起床。金曜の朝に英語添削に出すには、あと3日しかない。World Journal of Orthopedicsの投稿規定の確認。文献番号にPMIDとDOIを記入する必要があり、引用72本全部調べて記入。関節鏡下カイレクトミーの英訳。Conclusionの執筆。図の原画描き。関節鏡写真の選定。

2023-12-21:朝2時半に自然と目が覚めた。20-30分ベッドの中で論文で今日やることを考えてから起床。起きたてで頭は冴えているが真っ暗な中で考えるので、いいアイディアが思い浮かぶことも多い。図の作成と図の説明記載。意外と5時間もかかった。アブストラクトの下書きと英訳。Core Tipsの下書きと英訳。キーワードをMeSHタグより選出(引用文献のそれを見て最大公約数的に選んだ)。ひとまず完成。あとは英文を読み直してElsevierの英語添削に提出(明日?)。ここ1週間くらい根詰めてやりすぎて放心状態。とりあえずカランレッスンの予習でもやろう。

2023-12-22:昨日とりあえず終わったので気が抜けたのか、今朝は3時半起き。論文を最初から読んで校正。朝は途中(カイレクトミー)までやって中断。仕事後、睡魔と闘いながらひとまず校正終了。ただ、疲れながらの校正で不安が残るので、明日もう一度読み直してから英語添削に出そう。

2023-12-23:4時起きで論文の確認。昨日うとうとしながら論文を読んでいるときに一部deleteしたらしく、記述が飛んでいるところを発見。そんなに大量ではなかったので助かった。しかし、さすがに分量が多すぎて(6800語)、全部を見直すのはムリ。Elsevier Language Eiting Servicesの添削は1週間かかるのでタイムリミット。とりあえず提出しておいて、もう少し読み直した後にEnagoにも添削に出そう。Enagoなら3日以内といった期日を指定できるので確実。

2023-12-24:図の作成。Illustratorを使って作成しているが、分からない操作はCopilot(Microsoft標準のAIチャット)で聞くと簡潔に教えてくれるのでとても楽。以前ならGoogleで検索して、見つけたサイトを読まなければならなかった。

2024-12-25:図の作成。作り始めると意外と凝ってしまう。

2024-12-26:今朝も図の作成。本文をもう一度読み直してEnagoに出そうと思ったが、気が抜けてしまってダメ。一度目に読み直したときのような集中力で読めないし、自分的には言い残したことはないと思っているし、もしおかしな表現ならElsevierの添削で指摘されるだろうし、査読者に指摘されてから直してもいいし、指摘されないなら意味が通っているということだしで、もういいやと思ってしまっている。むしろきれいな図を作ったほうが意味があるかと。
Illustratorは重いソフトのため、外勤先の水野記念病院ではできないのは分かっていたので、パソコンを持って行かなかった。しかし今日はめずらしく時間に余裕があったので、昼休みに携帯のWordで文の見直しをすることに。一通り読んだところ、図の1カ所は説明文を変えてもよいと思ったが、他はまぁこのままで大丈夫そうだ。それにしても携帯のWordはとても読みやすいし、編集もストレスがなくて秀逸。

2023-12-27:朝2時起きで気合で図の完成。ひとつの図だけで2時間半かかった。後は英語の添削を待つのみ(返却は12月29日予定)。その間に著作権の書類など必要な書類をそろえよう。
今までElsevierの返却が予定日より遅れたことはないので大丈夫だとは思うが、万が一遅れた場合は投稿できなくなる可能性もあるので、Enagoにも一応校正を依頼しておくことに。1万5000円分の割引が残っているし、この際金がどうとか言っていられない。以前両社に添削を依頼して見比べたのも意外と勉強になったのでそうしよう。ElsevierはBritish EnglishかAmerican Englishかの指定があるので大丈夫だが、Enagoはどんな英語で添削されるか分からないので(学術的にはBritishかAmericanでないと困る)、コメント欄に「American Englishで校正お願いします」と書いておいた。受け取りを12月30日に。これでひとまず安心だ。

2023-12-28:Enagoに英語添削を依頼した数時間後にElsevierから添削が返ってきた。ほんのちょっと待てばよかったが、それは結果論なので仕方ない。添削を見ると、題名が「強剛母趾の病因に基づいた手術としてのカイレクトミーの十分性:解説とコメント」と変わっていた。確かにこの論文では、カイレクトミーがダメな手術だということを言いたいために書いていたが、あまりそれを前面に出そうとは思わなかった(おそらく無意識的に避けていた)。しかし、添削者から見ると、本文はそういう内容なのに、題名がオブラートに包んだようなのは奇異に映ったようで、ダイレクトなものに書き直してくれた。これはかなりインパクトのある題名だ。添削された箇所を一つ一つ確認。

2023-12-29:添削された箇所の確認。文献の題名まで添削している。ほんとこういうことはやめてほしい。題名はすでに決まってしまったものなのだから、それが文法的に正しかろうが間違っていようが変えられないでしょうに。

2023-12-30:Enagoから1日早く添削終了のお知らせ。2つの添削を見比べながら修正。ところどころEnagoの添削の方がいいところがあり、そちらに差し替え。だいぶいい論文になった。
迷うのが題名。Elsevierのほうは「強剛母趾に対する病因に基づいた手術としてのカイレクトミーの十分性」、Enagoのほうが「強剛母趾に対する病因に基づいた手術選択肢」としている。Elsevierのほうは主張強調型、Enagoのほうは論文全体反映型、どちらもよさがある。Elsevierはインパクトは強いが、題名とAbsstractとに若干ずれを生じ、Enagoのそれはバランスが取れているが、Elsevierほどのインパクトはない。どちらにするかの難しさは、年間最優秀ボクサーを井上尚弥選手にするかテレンス・クロフォード選手にするかくらい難しい。

2023-12-31:2つの添削を見比べながら最終仕上げ。片方の直し方が不服の場合も、もう片方は満足が行く直され方で、両方不満足な直され方をした箇所はない。こういう意味で、2つの添削会社に出したことはとてもよかった。
題名に関しては、「病因に基づいた強剛母趾に対する手術選択肢:レビューとコメント」にした。確かにカイレクトミーを攻撃したい気持ちはあるが、それ以外にも中足骨骨切りもお勧めしたいし、1927年にCochraneが発表した画期的な手術を紹介することも重要な要素なので、題名をカイレクトミーだけに限定するわけには行かない。それに、「カイレクトミー~」の方は、レビューの題名としてはちょっと奇異に映る。どうせレビューはよく読まれるのだし、「病因に基づいた」という言葉が十分キャッチ―だから、これ以上に奇をてらう必要もないだろう。
できあがったので提出へ。題名やアブストラクト、Core Tip、カバーレターを該当箇所にコピペ。著者の所属などを記入ののち、原稿ファイル(図や表を含んだもの)と英語校正証明書をアップロードして終了。カバーレターにはWJOで割り当てられたIDを記入せよとのことだが忘れてしまった。まぁ無事提出されたからいいだろう。

2024-1-5:WJOの作業でPCのデスクトップが乱れ切っていたので、その整理。次の論文に移らなければ。

2024-1-14:WJOのサイトを見たところ、今のところ31人の査読者の候補を選んだとのことだが、まだ査読は開始されず。

2024-1-20:さらに11人の査読候補者をAIで選出と。今回もなかなか査読者が決まらないよう。

2024-1-27:さらに12人の査読候補者をAIが選出。

2024-2-3:さらに12人の査読候補者をAIが選出。前回WJOに出したアキレス腱付着部症の論文も査読者候補305人のうち承諾したのが1人だった。そんなに皆査読を断るのか!?

2024-2-10:さらに12人の査読候補者をAIが選出。

2024-2-17:さらに12人の査読候補者をAIが選出。

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