概要
当院で行ってきた足底腱膜炎に対する内視鏡手術、「内視鏡下骨棘切除術」の論文です。
当初は「内視鏡下足底腱膜切離+骨棘切除術」と「内視鏡下骨棘切除術」を傾向スコア・逆確率重みづけ法で比較した論文を執筆し、Foot & Ankle Internationalに投稿しましたが、rejectを受けました。その理由としては、「まだ内視鏡下骨棘切除術が世に認められていないのに、それをコントロール群とした比較論文は意味が分からない」という査読者の受け止め方でした。よく読めばそうではないのですが、「初見ではそう受け取られても仕方がない」という指摘なので、これを論破するのは不可能だと思い、方針転換することにしました。
筆者の中では「内視鏡下骨棘切除術」が十分に治療成績が良いことは自明ですが、世界の足の外科医はまだ「骨棘が痛みの原因かどうかもわからない」などと言っている状況です。それを踏まえると、まずは「内視鏡下骨棘切除術」のケースシリーズを出し、「足底腱膜を切らなくても、骨棘を取るだけで、足底腱膜炎の痛みは減るのだ」ということを世に示さなければなりません。どうも、自分で傾向スコア・逆確率重みづけ法などを勉強しているうち、論文がどんどんとマニアックな方向に行ってしまい、理解されにくいものになってしまったようでした。
ということで、「内視鏡下骨棘切除術はこんなにいい手術です」ということを示すケースシリーズに書き換え、Foot and Ankle Orhopaedicsに投稿、2022-5-23に無事アクセプトとなりました(論文はこちら)。
経過
2021-3-27:着手
2021-3-29:Mendeley文献検索。
2021-3-31:データ集め
2021-4-1:データ集め。カルテからのデータ集め(終了)。
2021-4-2:Mendeley読み。
2021-4-3:Mendeley読み
2021-4-4:文献を読み、自分の研究を比較試験にすることに決定。
2021-4-24:傾向スコアの勉強。リアルワールドデータの統計解析。
2021-4-25:回帰分析の勉強。統計学図鑑。
2021-4-26:傾向スコアの勉強。できる!傾向スコア分析 SPSS・Stata・Rを用いた必勝マニュアル。
2021-4-27:アンケート郵送準備。
2021-4-28:傾向スコアの勉強。神田先生の「みんなのEBMと臨床研究」の p.130-131 と康永先生の「できる!傾向スコア分析 SPSS・Stata・R を用いた必勝マニュアル」。アンケート郵送の準備。
2021-4-29:アンケート郵送袋詰め(休日)
2021-4-30:紙カルテのデータまとめ
2021-5-1:追加のアンケート袋詰め(紙カルテぶん)
2021-5-7:アンケート返送
2021-5-8:アンケート点数化
2021-5-11:Mendeleyに傾向スコア資料を移す
2021-5-12:傾向スコアの勉強 Practical propensity score methods using R、調査観察データの統計科学
2021-5-13:傾向スコアをネット上記事で勉強
2021-5-17:アンケートの点数化
2021-5-18:傾向スコアの勉強。
2021-5-20:Rの勉強。
2021-5-21:傾向スコアの勉強。
2021-5-22:傾向スコア、Rの勉強。
2021-5-23:文献のPDF化
2021-5-24:傾向スコアの勉強。
2021-5-25:傾向スコアの勉強。頑健な妻さんのブログにたどり着く
2021-5-27:文献のPDF化
2021-5-28:Mendeley読み
2021-6-28:データ整理。
2021-6-29:データ入力。
2021-6-30:データ入力。途中で脊柱管狭窄症の除外基準に気づく。
2021-7-1:データ入力8割がた終了。
2021-7-2:試しに傾向スコアを出す。まだマッチングや逆確率重みづけ法は分からず。
2021-7-3:傾向スコアによる試算。マッチングはできるように。
2021-7-4:傾向スコアの勉強。和歌山医大のテキスト。
2021-7-5:レントゲン上の指標の計測。頑健な妻さんのブログ。統計英語文献読む。
2021-7-8:逆確率重みづけ法も可能に。
2021-7-9:傾向スコアによる解析ほぼ終了。
2021-7-10:執筆に取り掛かる
2021-7-11:逆確率重みづけ法の文献読み
2021-7-12:執筆
2021-7-13:執筆。統計英語表現をGoogle検索
2021-7-22:執筆。方法部分の記載。
2021-7-25:逆確率重みづけ法の勉強。
2021-7-26:逆確率重みづけ法のデータ解析。
2021-7-27:統計的因果推論を読み始める
2021-7-28:統計的因果推論読む
2021-7-30:統計的因果推論読み終わる
2021-8-17:原稿の見直し。
2021-8-19:原稿の見直し。Discussion部で逆確率重みづけ法の解説をすることを思いつく。
2021-8-20:論文の執筆。研究デザインに関する記述。
2021-8-23:論文の執筆。傾向スコアについての記述。傾向スコアを用いてやっていることを見失いそうになる。
2021-8-26:論文の英語表現の手直し。
2021-8-27:文献の選別
2021-8-28:Discussion部の執筆。
2021-8-30:文献の選別
2021-8-31:引用文献の選別
2021-9-1:Discussionの記載。病態を矛盾なく書くのに頭を使う。
2021-9-2:Discussioの記載。逆確率重みづけ法にまず触れないとわからない。
2021-9-3:Discussionの記載。論の展開が難しく7時間かかってひとまず完成。
2021-9-4:推敲。
2021-9-6:推敲。とくに統計部分の記載の確認。
2021-9-7:推敲。とくに統計部分の記載の確認。
2021-9-8:推敲。とくに統計部分の記載の確認。
2021-9-9:推敲。統計処理に小見出しを作る
2021-9-11:Abstractの作成。統計の記載が多いため制限字数に収まらず苦労。
2021-9-13:図の作成。Illustratorを使用。 OneDriveクラウド上、加工前生写真フォルダ、加工用Illustratorフォルダ、加工後提出写真フォルダを作成して保存。
2021-9-14:引用文献の検索
2021-9-15:通しで読んで修正。図の完成。
2021-9-16:ひとまず完成。Enagoに送る
2021-9-20:Enagoから返却。自分の論文からの剽窃を指摘。その修正。Atthroscopyに投稿。
2021-10-6:Arthroscopyからreject通知。「この論文はよく準備されていて大変興味深いですが、他の競合する投稿と比べるとインパクトに弱いので、雑誌Arthroscopyにはあまり向いていません」
2021-10-7:FAI用にフォーマットを調整。Enagoに提出。
2021-10-8:Enagoから返却。FAIに投稿。
2021-10-16:編集長による査読
2021-10-18:査読に対する返答の取り組み。potential outcomeの定義。
2021-10-19:査読に対する返答の取り組み。病態についての記述。
2021-10-20:査読に対する返答の取り組み。熊井先生の論文を読む。
2021-10-21:査読に対する返答の取り組み。踵骨棘のレビュー論文を読む。
2021-10-22:査読に対する返答の取り組み。本文への加筆修正。
2021-10-23:査読に対する返答の取り組み。本文への加筆修正。
2021-10-24:査読に対する返答の取り組み。引用文献の番号ふり直し。
2021-10-25:Enagoに提出。
2021-10-30:Enagoから返却。FAIに再投稿。
2021-10-29:Foot & Ankle Internationalに提出。
2021-12-2:Awaiting Reviewer Scores…
2021-12-5:表示がAwaiting Editor Assignmentに変わる。
2021-12-7:Rejectの通知メールが届く。
2022-1-1:査読内容のチェック開始。
2022-1-2:査読コメントのチェック。
第一査読者は、「骨棘削り」をコントロール群、「骨棘削り+足底腱膜切離」を治療群ととらえている。これは完全なる誤解というわけではなく、「そうとも読める」という類なので、訂正がほぼ不可能(こちら的には誤解なのだが)。そう読まれてしまう背景には、「骨棘削り」自体がまだ治療法として世に発表されていない、という背景あり。自分の中では、足底腱膜炎は「骨棘削り」で十分よくなるので、「足底腱膜切離は必要ない」という結論が出ているが、世の中の足の外科医には、まだそういう認識の人がいない状態だった…ということは、わざわざ誤解を生みかねない「逆確率重みづけ法」などという統計的手法を使って説明を難しくするよりは、単純に「内視鏡下骨棘削りの手術成績はこんなにいいですよ」というケースシリーズで十分。
以上より、逆確率重みづけ法を用いて書いたこの論文はいったんお蔵入りとし、普通のケースシリーズの形で発表することに。世に発表されるという意味では、これで十分。
2022-1-3:査読コメントのチェックと対応の検討。
2022-1-5:査読コメントのチェックと対応の検討。
2022-1-6:査読コメントのチェックと対応の検討。「足底腱膜炎に対する内視鏡下骨棘切除術」のケースシリーズの論文の執筆開始。まずは傾向スコア部分を全部削除。
2022-1-7:「足底腱膜炎の内視鏡下骨棘切除術」の執筆。
2022-1-8:「足底腱膜炎の内視鏡下骨棘切除術」の執筆 。
2022-2-20:「アキレス腱付着部症の内視鏡手術」の論文の修正ができあがって英語添削会社に提出。返ってくるまで数日間ヒマになるので、しばらく間が空いてしまっていた足底腱膜炎の論文に戻ることに。傾向スコア部分の削除と、書くべきことを日本語で執筆。
2022-2-21:日本語での原稿書き。これはケースシリーズなので、統計的なことよりむしろ、病態についてしっかり考えたことなどが重要になる。表の作り替え。Mann’s Surgery of the Foot and Ankleの足底腱膜炎の章読み。
2022-2-22:日本語での原稿書き。「足底腱膜炎の内視鏡下骨棘切除術」の論文を書いているが、もとはと言えば「内視鏡下骨棘切除+足底腱膜切離」との比較論文。後者の手術をした患者さんにもアンケートを取っている。前者だけの論文にすると後者の治療成績が無駄になってしまうので、後者は後者として論文にしよう。後者も十分治療成績がよいし、Working portalの作成の仕方が低侵襲で簡単、という点は売りになる。投稿する雑誌社も検討が必要だ。今までは何となくThe Journal of Foot and Ankle Surgery(JFAS)に出していたが、何しろopen accessでないところがつまらない。論文は読まれてなんぼであることを考えると、下手にimpact factor(IF)にこだわってJFASに出すより、よほどFoot and Ankle International(FAI)の姉妹雑誌のFoot and Ankle Orthopedics(FAO)(IFはないがFAIの姉妹雑誌である点に信頼性がある)や、Journal of Foot and Ankle Research(JFAR)(IFもあるし)のほうがよほどよいかも。もっと幅広く投稿する雑誌を検討したほうがよさそう。。open accessでハゲタカジャーナルでない投稿できそうな雑誌を調べると、今アキレス腱付着部症の論文を出そうとしているASMARの1200USDは破格。FAOも1000USDで安い。IFがついて安いのはOrthopaedic Journal of Sports Medicine (OJSM) の1200USD(ただこれはAmerica Journal of Sports Medicine (AJSM) の姉妹雑誌なので異常に競争が厳しいだろう)。JFARは2490USDもしたので魅力半減。JFASをopen access申し込みにすると2840USDで高い。以上より、足底腱膜炎の論文はFAO狙いにして、rejectされたらJFASにするか。
2022-2-23:Mann’s Surgery of the Foot and Ankleの足底腱膜炎の章読み。日本語での論文原稿書き。イントロダクション。過去の知見が自分の研究にどうつながるかの論理展開に気を使う。文献読み。
2022-2-24:Journalの調べ方でpubmedのNLMカタログというのを教えてもらい、さっそくそれを使って検索。その結果、The open orthopaedics journalという雑誌を発見。950USDと格安。pubmedでこの雑誌の論文を検索したところ、Maffulli先生とかLui先生など、世界的に有名な足の外科の先生の名前も見かけた。やはり時代はopen accessか。
2022-2-25:pubmed centralで調べてjournal listを見ると、pubmedに載っている雑誌を調べられることを発見し、それでopen accessの雑誌を調べたところ、The open orthopaedics journalは2018年でpubmedから外れたらしい。やはり新規の雑誌が質・量ともずっと論文を確保し続けるのは難しいよう。open accessの雑誌は、消えてしまえばそれまでpublishされている論文の所在すらあやしくなってしまうので、ちゃんと存続してくれる可能性が高いことが重要な要素と実感。そうすると、Arthroscopyの姉妹雑誌のASMARや、FAIの姉妹雑誌のFAO、AJSMの姉妹雑誌のOJSM、Journal of Bone & Joint Surgery (JBJS) の姉妹雑誌のJBJS openなど、親雑誌が老舗で信頼のおける雑誌であることが大切なよう。open access雑誌の候補探しもこのくらいにしておこう。足底腱膜炎の文献読み。イントロダクションやディスカッション部の論理展開で、どういった文献を引用する必要があるかを検討。
2022-2-26:どうも性格がしつこい。朝起きるとまたopen access雑誌のことが気になって調べてしまった。今朝はアメリカ・イギリス以外の雑誌を集中的に検索。すると、FAIと同レベルのIFのついた雑誌では、Journal of sport and health science(オランダ)とClinics in orthopedic surgery(韓国)のpublication feeがなんと無料、JFASレベルのIFのついた雑誌では、Acta orthopaedica et traumatologica turcica(トルコ)が226USD、SICOT-J(フランス)が770USD、World journal of orthopaedics(中国)が898USD、Advances in orthopedics(エジプト)が900USDと安い。これらはIFのつくような雑誌だし、記事はpubmed central保管にもなるから大丈夫だろう。アメリカの雑誌にこだわるのがバカらしくなってきた。足底腱膜炎の論文のイントロダクションの段落組み立て。踵骨棘のレビュー論文読み。
2022-3-3:アキレス腱付着部症の論文をenagoの添削に提出したので数日はヒマに。また足底腱膜炎の論文に戻る。文献読み。ディスカッションで書く内容の検討。
2022-3-4:イントロダクションで書く内容の検討。ディスカッションで主張したいことの整理。
2022-3-5:イントロダクションとディスカッションで書くことの検討。朝(といっても2時)目が覚めた瞬間、イントロダクションのすっきりした段落構成が頭に思い浮かんだ。後からいろいろ他の要素を入れることを検討するも、伝えたいことがクリアでなくなるばかりなので、最初の思い付きで行くことに。一方、ディスカッションは、書きたいことが多すぎるので、それらを要素に分割して箇条書きにした上で、どの順序でどの組み合わせで書いたらいいか検討した。今までディスカッションは、トップダウン形式(段落構成を考えて、そこからそれぞれの段落で書く内容を定めていく)でやっていたが、意外とボトムアップ形式(ディスカッション内で書く要素をすべて列挙したのち、それらの組み合わせなどから段落を決めていく)のほうがやりやすいかも。というのは、ディスカッションに入れる内容は、自分の研究結果、考察、他の文献からの知見と多岐にわたるので、それらを漏れなく盛り込む段落構成を最初には思いつけないからかもしれない。
2022-3-7:「踵骨棘は痛みの原因の一つである」ということを支持する論文集め。文章を加えたりしても初回提出時に書いた記述内の参考文献が何か分からなくならないよう、参考文献の番号表記を(名前、発行年)に書き換え。書ける部分を可及的に執筆。イントロダクションはだいたい終了。
2022-3-8:方法の記載。包含基準・除外基準など。ほぼ終了。ディスカッションの執筆。段落ごとに。
2022-3-9:ディスカッション部の執筆。段落ごとに英訳。ひとまずおおまかには書けた。FAIに出した時の査読コメントの見直し。
2022-3-11:FAIの査読コメントを見ながら論文に修正点を記入。
2022-3-12:FAIの査読コメントを見ながら論文の修正。データ解析のやり直し(傾向スコア逆確率重みづけ仕様からCase-series仕様に)。グラフの作成。統計ソフトEZRで出したグラフをillustratorに貼り付けて、レイアウトを加工。
2022-3-13:表の修正。結果の記載。グラフの作成。
2022-3-14:グラフの作成。
2022-3-15:全体を通読して、追加でやるべきことの整理。文の校正。アブストラクトの記載。グラフの補正。
2022-3-16:文献の整理。効率的に引用できるようにするため。
2022-3-17:文献の整理:治療成績、術式、合併症。他の文献をよく読むと、自分の論文での強調点がはっきりする。追加データを取るため入院カルテの取り寄せ。追加の内視鏡写真の選定。引用文献を論文に追加。
2022-3-18:他の治療成績への言及の仕方がうまくないので、他の文献での言及の仕方をチェック。入院カルテから全荷重歩行できた日数のデータ集め。平均を出したら4.4日だった。結果の記載。その結果を踏まえたディスカッション内の記述の追加。他の文献の手術成績の記載。だいぶ完成が見えてきた。
2022-3-19:文献の引用。治療成績や合併症部分。引用文献の整理。文献を含めた本文の記述。引用文献番号振り、図の追加作成と図の追加説明、投稿規定の再チェック。ひとまず終わった。本文全体を通読しての見直しは疲れた頭ではできないので、明日残し。
2022-3-20:論文全体を2回通読。細かい修正。英語添削会社Enagoに提出。返却が3/24。しばらくヒマなので、母趾種子骨障害の論文へ。
2022-3-24:Enagoから返却。今回の添削者の直し方は割と好みの直し方(平易な表現を使っている)。訂正によってAbstractの字数をオーバーしていたのでそこを訂正、カバーレターの補正などをしたのち、FAOに投稿。大きなトラブルはなかった(グラフの解像度が高すぎたのを落としたくらい)。あとは査読待ち。
2022-3-25:査読の進行状況Statusは”Awaiting Admin Processing”。
2022-3-27:Statusが”Awaiting Reviewer Assignment”に。
2022-4-1:Statusが”Awaiting Reviewer Scores”に。
2022-4-10:”Awaiting Reviewer Scores”のまま。
2022-4-17:”Awaiting Reviewer Scores”。
2022-4-30:”Awaiting Reviewer Scores”。。
2022-5-2:”Awaiting Editor Assignment”に。
2022-5-5:編集長からメール。ある程度直すべきところはあるも、おおむねアクセプトになりそうな感じだった。それはいいとして、またしても英語の質について指摘された。ちゃんとEnagoで添削してもらっているのに!Enagoのサイトで今回の添削者のプロフィールをチェックすると、パキスタンの人だった。パキスタンは英語が第2公用語とのこと。第2公用語なのでできない人もいるため、比較的ブロークンな英語にも寛容らしい。それもあって、日本人が書いた英語も「まぁ通じているからいいか」と寛容に受け止められたがゆえ、直し方が緩かったのかもしれない。
ただそれよりも問題なのは、「パキスタン英語の話者が英語を添削する」という点だ。これは英語という言語そのものに関係する話だが、英語が世界に広がりすぎて、”英語の方言化・多様化”が進んでいる。”パキスタン英語”、”インド英語”、”フィリピン英語”、”シンガポール英語”、…。すると、その国の人たちは日常で普通に ”英語” を話しているため、当然自分たちのことを ”英語ネイティブ” だと思っていて、英語非ネイティブの日本人の論文を添削したりするのだが、その提出先のアメリカ人から見ると、”変な英語” に見えてしまうのである。もちろん、その人たちが話す”英語”もれっきとした英語であって、”アメリカ英語”と”イギリス英語”だけが英語なわけではない(詳しくは「英語の冒険(講談社学術文庫)」を)。ただ、こと学術論文となると、投稿規定に「アメリカ英語もしくはイギリス英語のこと」と書かれているので、パキスタン英語の話者に添削してもらっては困るのである。
EnagoもEditageもインドの会社なので、その点注意したほうがよさそうだ(これらの英語添削会社を使うときには、「アメリカ英語で添削お願いします」と書くべきだ)。それに対してElsevierのLanguage Editing Serviceでは、「添削言語をアメリカ英語かイギリス英語か選んでください」とあるので、その2つ以外の英語ネイティブが入る余地はないだろうし、また、別の人のブログでAmerican Journal Expertsという英語添削会社を推しているのを見かけたが、これもアメリカの会社がゆえ、アメリカ英語を話す添削者がそろっているのだろう。
2022-5-6:査読内容のチェックと対応の検討。今回の指摘は14個。その中で、今まで考えてもみなかった視点での指摘が1つあった。まさにこういう鋭い指摘を受けたいから論文を書いている。
2022-5-7:FAOからメール。査読への返答に使うWordファイルが送られてきた。査読コメントとそれに対する変更、変更箇所を表形式で記入するようになっている。査読コメントに対する対応の検討。
2022-5-8:査読コメントに対する返答。理屈っぽいアメリカ人の質問に、論理的にしかも英語で答えるのは本当に疲れる。無意識にスルーしていた点などが明らかになるのでとてもありがたいのだが。
2022-5-9:査読コメントに対する返答と本文の修正。完成。今日Enagoに提出しようと思ったが、仕事で疲れたので、明日の朝もう一度見直してから提出することに。
2022-5-10:査読コメントに対する返答の見直し。終了後、Enagoに提出。おそらく明日までには「このたび、お客様の投稿された論文に対して、査読者より言語の質について指摘があったことを、弊社としては極めて遺憾に受け止めております。」のメールが来るだろう。そして、雑誌社に実際に提出した原稿の送付を求められ、その中の数個の修正漏れをお詫びされるだろう。
しかしいくら査読で指摘されたからと言って、あとから提出原稿について「こんなに修正漏れがありました」とは言えないだろう。そんなことなら「じゃあ初めの添削は何だったんだ」と言われるから。また、そもそも、その提出原稿がなぜ英語の質を指摘されたのかピンと来ないかもしれない。なぜなら、自分たちは”英語ネイティブ”であるから。
こういう英語という言語の性質に基づく(2022-5-5)英語添削会社の陥りがちなピットフォールを意識している会社はどれだけあるのだろう。”アメリカ英語”、”イギリス英語”を明確にうたっている会社はおそらく意識しているだろう。添削者のプロフィールに、アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、フィリピン人などをごちゃまぜに載せている会社は、おそらく意識していないだろう。
今回Enagoに提出した理由は、オプションでついている査読に対するコメントの添削を依頼するため。本文はElsevierで添削してもらう必要あり。Enagoの返事を待つ必要はないので、さっそくElsevierにも提出。今回は色々なオプションをつける必要はないので、”Express”という英語だけをささっと添削してもらうサービスに。57000円(泣)。
2022-5-11:査読コメントの中に「この論文は最終的にはアクセプトになる可能性が高いので、5分以内の手術動画を準備してください。それがあなたの手術法を他の外科医に伝える最良の方法です!」と編集長からのコメントがあった。今まで手術動画の作成を避けてきたのだが、ついにやらざるを得ない時が来てしまった。。
スマホとSurfaceなら動画撮影できそうなので、まずはスマホで撮影してみることに。今朝Amazonから届いた三脚を使って、さっそく手術室で撮影。撮影された動画はいったんスマホ内に保管になるが、4時間くらいは撮影できるらしい。時間は十分。しかし撮影した動画をPCに移すとなると、アップロードに異常に時間がかかって非効率的。Surfaceで撮影して、そのまま編集してしまう方が現実的か。Surfaceの三脚は明日届くので、来週試してみよう。
2022-5-12:他の人の動画を見て、「ただ内視鏡の動画を流すだけとわかりにくい」とか「画面が頻繁に切り替わるとわかりにくい」とかいろいろ学ぶところがあったので、昨日の初めての手術動画撮影では、「手の動きと内視鏡モニターと透視モニターがいっぺんに入る視野にスマホを固定して、長回しで撮影する」というふうにやってみた。あとからその動画を見たところ、比較的良かったが、改善すべき点もいくつか見つかった。「無影灯(手術の照明器具)が内視鏡モニターに反射しないようにする」とか「手暗がりにならないようにする」「カメラの前での器具の受け渡しは極力控える」などは、撮影してみないと分からないことだった。しばらく練習が必要。
2022-5-13:EnagoとElsevierから添削が返ってきた。Enagoの今回の添削者はよかった。査読コメントに対する回答ファイルを見ると、かなりがっつり直されていた。訂正後の表現も「それが言いたかった」と思えるような表現だった。一方、Elsevierによる原稿の添削を見ると、こちらもかなり直されていた。ただ、根本的な修正というものはなく、ちょっとした表現が単語レベルでより簡潔になっているという程度のものだった。おそらくアメリカ人にはまどろっこしい表現に映る部分があったということなのだろう。修正箇所を確認していき、とりあえず提出する原稿と査読コメントに対する回答ファイルを完成。明日見直してから提出予定。
2022-5-14:ElsevierとEnagoの添削を見ながら、原稿の最終チェック。両方の添削を見て思うのは、それぞれ見落としや読み間違えなどがあるということ。それらを見ながらチェックしたら、さらに自分でも新たに見落としを発見した。やはり多くの人の目に触れた方がいい論文になるよう。とりあえず大丈夫そうなので提出。提出サイトで、査読コメントに対する返答ファイルのアップロード先があいまいなので、とりあえず該当すると思われる2カ所にアップロード。提出ファイルの確認PDFを見たら、アキレス腱付着部症のASMAR提出時(2022-3-6)にもあった、PDFになると原稿ファイルの行番号がずれる事態が発生。これはどの雑誌社でも起こるピットフォールか。査読コメントに対する回答ファイルの行番号を書き直し、再度アップロード。大丈夫そうなので提出した。アクセプトお願いします!
2022-5-15:”Status”は”Awaiting Admin Processing”。
2022-5-17:FAOからメール。査読コメントに対する回答ファイルに不備があると。原稿の訂正箇所を行番号で提示したら、それに合わせて訂正部分も引用して示せ、と。追加して再提出。
2022-5-19:”Status”が”Awaiting Admin Processing”に。
2022-5-23:編集長からアクセプトのメール。とりあえずめでたいのだが全然うれしくない(笑)。まだこれからビデオを作らなければならないのに加え、原稿を5日以内に校正せよとか、Twitter用のサマリーを280語以内で提出せよとか、やらなければならないことが逆に増えたからか。ビデオは60日以内に提出せよとのこと。とは言え、まぁめでたいはめでたい。
2022-5-24:Twitter用のサマリーの作成。280語でなく280文字だった。その作成。原稿の校正。これらを含めて事務局にメール。英語でのメールのお作法というのがよくわからないが、要件が伝わればよいと居直る。
2022-5-25:FAOからメール。原稿の校正はTrack-changesを用いよと。言われたように書き換えて返送。すんなりとは行かない。
動画の編集の練習。Windows10では、標準で装備されているフォトとビデオエディタのソフトで動画編集を行えるらしい。動画撮影時に入ってしまった音声は、フォトで動画を開いて、音声をゼロにした上でエクスポートすればよいらしい。あとはビデオエディタでビデオを分割しては保存しておき、それぞれにあらかじめ用意しておいた説明の音声ファイルを加えた上で、それらを1本につなげればよさそう。意外と簡単そうだ。先に音声ファイルを作っておいたほうが、それに合わせて動画で切り取る長さをきめることができるのでよいかも。さっそく音声ファイル用の原稿の準備。
2022-5-26:動画用の音声ファイルの原稿づくり。「音読さん」で音声ファイルに変換。男性の声は一般に聞き取りにくいので、女性の声にした。聞き比べた結果、Joanna(やや低め)とJenny(中間)が最終候補に残ったが、小さい音でも聞き取りやすいJennyに決定。
ビデオ作成の練習。動画を分割、手術時の音を消したうえ、音声ファイルを乗せる。説明と説明の間は5秒程度開けるのがよかった。はじめに題名を挿入。だいぶできるようになってきた。
説明文・間の5秒・初めの3秒を合わせ、作るべきビデオの秒数を計算。計7本、244秒=4分4秒。3⁻5分のビデオを作るように言われているのでちょうどよいか。
2022-6-3:出版社からメール。これからのおおまかな流れが書いてあった。1週以内に来る次のメールを見て、まずはオープンアクセス料を支払ったのち、2週以内に届く出版用の原稿をすみやかに校正して返送せよと。
2022-6-7:出版社SAGEからメール。ライセンス契約とオープンアクセス料支払いをせよと。指定されるサイトに行き、ライセンス契約とか訳わからないものをGoogle翻訳を頼りに何とか理解し、必要事項にチェックを入れ、クレジットカードで支払おうとしたところ、そこで支払いがうまくいかない。こういうのが一番疲れる。どうしようもないので、もう少し時間をおいてからトライすることに。
その後SAGEからメール。「オープンアクセス料の支払い者(つまり自分)の承認を得ましたので、原稿を出版用に編集し始めます」と。とりあえずほっとするも、あと1か月以内に支払わなければならない。何度もクレジットカード払いで失敗するとクレジット自体が使えなくなる可能性もあるので、そうそう失敗はできない。ひとつには家のWiFiの通信環境に問題があるかもしれないので、明日病院の有線LANで試してみよう。
2022-6-8:病院の有線LANでもインターネットでのクレジット払いができない。普通に番号を入れると”Payment Failed”と出てしまう。ということは有線/無線といったインターネットの接続の問題ではなさそう。考えられるのは、三菱UFJニコスカードは、インターネット支払いをしようとしたとき、いきなりそれで決済とならず、もう一度三菱UFJニコスカードのサイトに入るためのIDなどを聞かれるウィンドウが開かれるが、おそらく外国の支払いサイトからそこを経由すると、何らかのブロックがかかるのだろう。SAGEのPayment Failedの画面には”You can try again later with same step. If you continue to receive error messages, please contact your bank.”とあるので、もう何度かトライしてみるが、ダメなら銀行での支払いになりそう。来週有給を取っているのでそこで払うか。
2022-6-14:SAGEからメール。「出版用の原稿ができたので校正せよ」と。サイトに行ってチェックしたが、特に問題なかった。アキレス腱付着部症の校正で、リクエストしたことが反映されていなかったので、その点注意した。SAGEでは「なるべくコメント欄を使わないでくれ」と書いていて、これは「直したいことがあれば直接自分で直せ」という意味だと解釈(アキレス腱付着部症の校正では、コメント欄に「『利益相反なし』にして下さい」と書いたのに反映されなかったので)。いずれにせよ直すところがなかったので、そのまま提出。
2022-6-15:結局インターネットでは支払えなかったので、明日の有給を使って銀行から振り込むことに。”三菱UFJ銀行外国送金webサポート”なるものがあることを教えてもらったので、必要な書類を用意するためにアクセス。送金先の外国の住所やら支払先の銀行やらを入力。Sort CodeやらIBANナンバーやらBIC SHIFT Codeやら訳わからないものをたくさん入力し、途中、間違えのないよう10回くらい見直し、最後に印刷すると、「外国送金依頼書兼告知書」なるものが印刷されてきた。クレジットカードで支払えれば3分で終わる話がこの苦労(笑)。明日銀行に行ってこよう。
2022-6-16:銀行は混むので、朝一に行こうと準備。渋谷支店に行こうと思っていたが、外国送金業務をやっているのか急に不安になり、インターネットで調べると、案の定やっていなかった。都内でも18店舗しかやっていない。しかたがないので青山通支店に行くことに。渋谷の半蔵門線の改札を通ったら、ちょうど電車が来ていたので、駆け込み乗車。ラッキーと思ったが、なぜかまわりは女性ばかり。まだ通勤時間帯が終わっていなかったため、女性専用車両に乗ってしまったのだった。気まずいことこの上ないが、ピンクのTシャツを着ているのでまぁいいか。次の表参道でとなりの車両に乗り換え、青山一丁目駅へ。交差点から青山通りを赤坂見附方面に歩くと、どうも銀行が見当たらない。おかしいと思ってスマホの地図を見ると、なんと通り過ぎてしまっていた(銀行を見逃すことなんてあるか?)。引き返して注意して探すと、通りの反対側の赤坂御所かと見紛うほどに鬱蒼と茂った生垣に隠れて、三菱UFJ銀行があった。こんなに木に隠れていては、営業したいのかしたくないのか分からない。正面を入って係の人に外国への送金の旨を話すと、2階に上がってくれと。2階につきすぐに窓口で呼ばれ、送金の手続きをしようとすると、なぜかしきりにテレビ電話での送金を勧めてくる。「窓口では送金は2営業日後になりますが、テレビ電話ですと本日送金できます」「テレビ電話では手数料が1000円お安くなります」…。2階に案内されたからこちらに来たのに、また1階に戻って、しかもテレビ電話とかよく分からないことをやるのは気が進まないので、「めんどくさくないほうがいいです」と答えたところ、その窓口の人も諦めたらしく、手続き開始。外国銀行への送金のような面倒な業務を簡略化するために、インターネット手続きやらテレビ電話やら、客側にやらせるシステムが発達してきたのだから、「めんどくさくないほうがいい」と答えたのは、こちらが楽をするためには悪くない返答だった、などと座って待ちながら考えているうちに、手続き終了(約10分)。通勤時間帯が過ぎ、すき始めてきた銀座線に乗って渋谷に戻った。なんだか意識高い系の街に行って疲れた。
2022-6-17:SAGEからまたメール。「”in-text callout for reference 10”に対する回答がないので、再度修正をお願いします」と。前回in-text calloutというのがどういう意味か分からず、reference 10の表記のしかたが省略しすぎなのかと思い、そこを修正して出したら違っていたよう。質問の意味が分からないのが一番困る。もしかして、と思って本文中の文献10の引用を調べて見ると、ひとつも引用されていない。なるほど、論文の中の引用文献を示す番号のことをin-text calloutと言うのか。一カ所に引用文献番号10を振って再提出。すぐにSAGEから返事があり、直しておきますと。合っていたよう。
2022-6-21:SAGEからメール。電子版ができましたと(論文はこちら)。晴れて世に公表された。
2022-6-23:動画の編集。まずは各手術工程何秒の動画を作るか計算(「音声+間」の足し算)。次に生動画を見ながらどこを切りとるか検討。
2022-6-24:生動画の音声消しと切り取り、切り取った動画の上に、先に作っておいた(2022-5-26)説明文の朗読ファイルを載せる作業。手術工程ごとに細切れの動画を4つ作成。半分くらい終了。
2022-6-25:残りの細切れの動画を作り、全部つなげて完成。初めて作った手術動画にしてはまずまず満足いく出来。
2022-6-26:動画の最後が尻切れトンボになるので、最後にもう一度題名を出すようにしようとするも、なぜかそれを入れると全部の音声が消えてしまう。別にそれを追加しなくても動画の本質的な部分には影響しないので、あきらめてそのまま提出。
2022-6-28:FAOから動画を受け取りましたとメール。別のメールでOpen Access料も振り込まれましたと。
2022-7-5:FAOのサイトを見ていたら、American Orthopaedic Foot & Ankle Society(AOFAS;FAOもAOFASの出す雑誌の一つ)の7月1日のツイッターで、この論文がツイートされているのを見つけた(こちら)。3つ「いいね」がついていたので、自分でも1つ追加しておいた。
2022-7-17:提出した動画がFAOのサイトで公開された(動画はこちら)。
2022-9-1:SAGEからメール。「”Article Metrics”を見ると、あなたの論文のダウンロード数が見られます」と。早速見に行くと、今日の時点で272個ダウンロードされていた。publishされてまだ2か月ちょっとだが、これだけ読まれているのはやはりオープンアクセスだからだろう。誰にも読まれない虚しさといったらない。大したことないimpact factor雑誌に載るくらいなら断然オープンアクセスだと実感。
2022-9-14:FAOのホームページを見るとレイアウトが変わっており、そのためか、自分のビデオがホームページ上から消えている!SAGEに修正依頼のメール。自動返信でSAGEからメール。5営業日以内に対応しますと。
2022-9-16:今日FAOのホームページを見ると、消えていたビデオがちゃんと戻っていた。現在のところ論文のダウンロード数313。
2022-10-29:論文のダウンロード数が500を突破。
2023-6-11:論文のダウンロード数が現在までに1047。FAOの中の最も読まれている30の論文のひとつとのこと。
Journal of Health Sciences (JHS)というジャーナルから査読依頼。”腰椎ヘルニアと踵骨棘との関係”という題名。”そんなの両方とも体重が関係しているのだから関係あるの当たり前じゃん”と思ったが、目的のところに”骨棘の病理学的重要性を判断するための信頼のおけるベースラインを提供するため”などとうまいことが書いてある。こんなことが書ける著者はおそらく書き慣れた人だろうから、興味本位で査読を承諾。実はこの査読依頼は5月30日に届いていたのだが、別の査読があるため、返事をpendingしていた。今日承諾したが、査読提出期限は6月21日のまま変わらないという強引さ(ふつうは査読承諾日から設定される)。
2023-6-13:せっかくいい論文であることを期待したのだが、うまいのは目的の書き方だけであって、方法、結果の提示とも、まったくお粗末だった。JHSの査読者のガイドラインで “beyond redemption” (手の施しようのないほど)という表現を新たに覚えたが、早速使えるとは思わなかった。しかし、研究自体に重大な欠陥があるわけではなく、書いている本人も至って真面目に書いているも、ただ書き方がまずいというだけなので、ひたすら慈悲の心をもって修正点を指摘しなければならない。
2023‐6‐20:JHSの査読。明日が期日。
2023-6-21:JHSの査読。いつも査読していて思うのが、提出の前にちゃんと共著者に添削してもらっているのか、ということだ。少し論文を書いたことのある人なら誰でも指摘できるような欠陥をそのままに提出される論文が多すぎる。そういう書き方の欠陥くらいならまだ我慢するが、研究の組み立てにしても、どうしてシステマティックに、対称性よくできないのか。そういう頭の中のごちゃごちゃをそのまま方法&結果に示されると、reject一言で切り捨てたくなる。ディスカッションにしても、この小さなひとつの研究から、どうしてそう大風呂敷を広げた結論を導き出せるのか。結果から導き出す結論はもっと慎重であるべきだ。以上を踏まえ、どう直したらいいかを具体的に書き、終了したので提出。accept/rejectは編集長の仕事であって、査読者の仕事ではない。査読者は著者に協力的であるべきだ。
2023-9-10:出版社SAGEからFAOに関するダイレクトメール。FAOに載ったtrending researchが紹介されている。見てみると自分の足底腱膜炎の論文が紹介されていた。サイトに行くと、現在のところ1314ダウンロードされている。少しずつ全世界の足の外科医に広まってほしい。